はじめに「小説を書きたいあなたへ」
この記事にたどり着いたということは、きっとあなたも小説を書く人間の一人なのだろう。
あるいは、
「これから小説を書いてみたい」
と思っている“執筆初心者”であるかもしれない。
いずれにしても、せっかく小説を書くのなら、検討したいのは「文学賞への投稿」である。
見事受賞すれば、多くの人に作品を届けられるし、大手であれば作家デビューへの道だって開けるかもしれない。
このブログでは、文学賞への投稿をゴールに据え「どのように小説を執筆するか」について詳しく解説をしている。
今回、解説したいのは、
「魅力的な登場人物とは何か」
「魅力的な登場人物はどのように作るか」
の2点である。
ちなみに僕自身、かれこれ10年以上の執筆歴がある。
その中で、地方文学賞を受賞したこともあるし、大手新人賞で予選通過をしたこともあるし、大手出版社から出版をしたこともあるし、自費出版をしたこともある。
とりあえず、人並み以上に「書くこと」について考えてきた自負はある。
また、執筆する上で数々の指南書、ありていにいえば「ハウツー本」で勉強をしてきた。
この記事では、そうした僕自身の経験と、書籍に記された「プロの意見」を参考にしている。
それでは、最後までお付き合いください。
大まかなスケジュール
本題に入る前に、まずは大まかな執筆スケジュールについて示しておこう。
ここでは「締め切りまで丸1年ある」という前提でスケジュールを組んでみたい。
もちろん、「締め切りまで半年しかない」という方もいるだろうし、「3ヶ月しかない」なんて方もいるだろう。
ここに記しているのはあくまでも目安として考えて、残された期間に応じて柔軟にスケジュールを組んでもらえればと思う。
それでは、以下が理想的な執筆スケジュールだ。
1ヶ月目 | テーマ・応募先の決定 |
2ヶ月目 | 資料の読み込み |
3ヶ月目 | プロット作成 |
4~8ヶ月目 | 執筆 |
9ヶ月目 | 全体の俯瞰 |
10ヶ月目 | 推敲 |
11ヶ月目 | 寝かす |
12ヶ月目 | 最終調整・応募完了 |
それでは以下で、3ケ月目「プロット作成」の中の「登場人物の作り方」について詳しく説明をしていく。
※「執筆スケジュール」について詳しく知りたい方は以下を参照。
※「プロットの具体的な作り方」について詳しく知りたい方は以下を参照。
登場人物は最も重要な要素
登場人物の重要性は、多くの作家が、あるいは多くの指南書が異口同音に主張している。
そもそも、「小説」とは“人間”や“人生”を書くものだ。
“人間”不在の小説なんてものはあり得ないわけで、そう考えてみても「登場人物」というのは、小説における最も重要なファクターだといっていい。
特に、近年の文学賞では「登場人物」(キャラクター)の重要度は極めて高くなっている。
世の“文学賞”を受賞した作品には、必ずといって良いほど、読者をグッと引きつける「魅力的な登場人物」がいるからだ。
そうした傾向は、特に「エンタメ系」の文学賞に見て取れ、特に「ライトノベル」に関しては「キャラクター小説大賞」といったものまで存在しているほど。
また、もしもあなたがこれから「長編小説」を書こうとしているなら、魅力的な登場人物は必須だと考えても良いだろう。
短編や中編なら、表現や文章の妙だけで読者を引っ張っていけもするが、長編という長丁場になると、読者の興味を持続して引きつけなければならないからだ。(“おもしろさ”を求めるエンタメ小説ではなおさらだ)
以下では「小説における登場人物」について、以下の点にスポットを当てて解説をしたい。
【 この記事で解説すること 】 1、小説ジャンルと登場人物の考え方 2、魅力的な登場人物とは何か 3、登場人物を設定する時のポイント 4、普段から意識すべきこと
小説ジャンルと登場人物の関係
純文学の場合
「小説にとって登場人物が重要!」と一口にいっても、実は「小説ジャンル」によって、その考え方は異なってくる。
言い換えれば、「登場人物の設定」の度合いは、小説ジャンルによって異なってくるのだ。
ここでは、各ジャンル別に、登場人物に対する考え方を整理してみたい。
まずは、純文学における「登場人物についての考え方」をまとめたのが以下である。
多くの小説ジャンルで「登場人物の設定」は必要不可欠なのだが、純文学は唯一の例外だといっていい。
なぜなら、純文学は「矛盾」や「不可解さ」が許容される世界だからだ。
誤解を恐れずにいえば、純文学の魅力はその「矛盾性」や「不可解さ」、もっと言えば「わかりにくさ」にあるといってもいい。
なので、執筆の準備段階で登場人物の設定は明確に行う必要はない。
というより、ある程度「余白」を残して置くべきだといったほうが良いだろう。
これは、やや精神論的に聞こえるかもしれないが、純文学の執筆において、「書き手」は登場人物と対話していくのが創作の醍醐味なのだ。
参考までに村上春樹は、登場人物について、ほぼ何も決めないまま書き始めるという。
本当の意味で生きた登場人物は、ある時点から作者の手を離れ、自立的に行動し始めます。(中略)実際、そういう現象が起きなければ、小説を書き続けるのはかなりぎすぎすした、つらく苦しい作業になってしまうはずです。
(村上春樹『職業としての小説家』より)
村上春樹によれば、究極のところ「登場人物」とは、書き手を物語の先へと導いてく存在であり、書き手はそれに従って筆を動かしていけば良いのであり、それこそが書き手の幸福なのだという。
つまり、純文学では、こうした「意外性」や「一回性」のような執筆体験が創作の目的であり、そうした執筆体験がすぐれた作品に繋がっていくというワケだ。
エンタメ(中間)小説の場合
ここでいうエンタメ小説というのは、いわゆる「中間小説」とか「ノンジャンル小説」とよばれるもので、純文学チックなエンタメ小説のことだ。(朝井リョウとか、恩田陸とか、江國香織とかをイメージしてもらえれば良い)
エンタメ(中間)小説に純文学的要素がある以上は、ある程度は執筆時の自由度を確保して、執筆時の「意外性」や「一回性」をどんどん生かしていくべきだろう。
参考までに、人気エンタメ作家の伊坂幸太郎もまた
「主人公がかってに動き出すことがある」
と語っており、それこそが創作の喜びであるとしている。
とはいえ、エンタメ小説では純文学のような「不可解さ」は、あまり読者から歓迎されない。
読者を最後まで引っ張っていくためには「共感できる」登場人物が必要不可欠なのだ。
たとえば、人間的な「弱さ」や「醜さ」、「暗い過去」、「苦悩」、「葛藤」、そういった欠落を抱えつつ、それでも強く生きようとするキャラクターは多くの読者の共感を得るだろう。
そうしたキャラクターを作り上げるためには、執筆前の準備段階で、ある程度設計しておき、あとは執筆時に人物造形を深めて行く必要がある。
ということで、「中間小説」や「ノンジャンル小説」では、登場人物の設定は必要最低限(たとえば名前、職歴、性格、長所、短所、容姿辺り)に留めて置くのが良いだろう。
なお「魅力的な登場人物とは何か」については後述するので、そちらを参考にしていただきたい。
ミステリー小説の場合
ミステリー小説は「人口の美学」と呼ばれるように、執筆前の入念な準備や緻密なプロット作成が必要不可欠だ。
なぜなら、作品の核心部分に「論理的な矛盾」あってはならないからだ。(もちろん、“謎解き前”の段階でそれがあっても構わない)
さらに、物語における「余白」というのも、極力排除をしなくてはならない。
純文学や中間小説において、「叙情」や「詩情」を与えるものが、ミステリー小説において「ノイズ」になるということは珍しくない。
以上のことを分かりやすく、かつ明確に説明したプロの作家の言葉を、以下に引用しておく。
やや長い部分になるが、大事なところなので、ぜひじっくりと読んで欲しい。
純文学や一般小説の場合、仮に登場人物が喫茶店に入るとする。その必然性がなくとも差し支えないが、ミステリーの場合、なぜ登場人物がそこでその喫茶店にはいったかという必然性がなければならない。全編、必然性で塗り固められているのが本来のミステリーである。主人公のなにげない言動、行動範囲、登場する場面、交友関係、職業、性格、年齢、家族構成、生活史等、すべてが必然性を持ってなければならない。人物が設計図や計算から外れて、勝手に動き出すと、小説としてはダイナミックになっても、ミステリーとしては破綻しやすい。
(森村誠一『小説の書き方』より)
上記を整理するとこうなる。
純文学・中間小説 …登場人物が勝手に動き出す=〇
ミステリー小説 …登場人物が勝手に動き出す=×
森村誠一は多くのミリオンセラー作品を生んだ「江戸川乱歩賞」作家である。
ミステリー作品を書きたい人は、ぜひ彼の言葉を肝に銘じ、登場人物の設計を緻密に行いたい。
歴史・時代小説の場合
歴史を題材にした「歴史小説」や「時代小説」では資料・史料収集というのが必要不可欠だ。
念のため歴史小説と時代小説の違いを確認しておくと、次のようになる。
歴史小説 …歴史的事実をもとに構築した小説
時代小説 …歴史を舞台に架空の世界を構築した小説
つまり、歴史小説の場合、登場人物は基本的に「実在の人物」ということになり、時代小説の場合は「架空の人物」ということになる。
そうした違いはあるものの、両者に共通して言えることは、「史実への深い理解が書き手に求められる」ということだろう。
とはいえ、史実をそのまま書いてしまえば、それは「小説」ではなく「伝記」となる。
歴史・時代小説に登場する人物たちは「実在の人物」を下敷きにしてはいるが、書き手の解釈によって、どのように書いても構わない。
極端な話だが、「善人」を「悪人」に書いても良いし、逆に「悪人」を「善人」に書いても良い。(むしろ、こうした発想が、魅力的な歴史・時代小説を作り上げる)
ただし、このとき書き手は「どこからどこまでが事実で、どこからどこまでが虚構か」をきちんと理解しておかなければならない。
そうした意味でも、書き手は執筆準備として「時代考証」や「事実認識」に努めなければならない。
そして、情報を踏まえて登場人物の設計を入念に行う必要がある。
なお、資料収集を安く効果的に行うなら、【 kindleアンリミテッド 】という定額読み放題サービスを利用するのがオススメ。
興味があるかたはぜひチェックしてみてほしい。
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ライトノベルの場合
ラノベのキャラ設定については、様々な意見があって、一概に「こうだ」とは言えない。
とはいえ、ラノベの生命線が「キャラ」であることは間違いなく、だからこそ、見切り発車で執筆を始めてはいけないと僕は考える。
では、具体的に何を決めておくかといえば、こればっかりは「これだけあればカンペキ」というものはないだろう。
とにかく、細かく、具体的に、そして数多く、キャラクターのディテールを決めておいた方が良い。
ざっと思いつくだけでも、こんな情報が想定されるだろう。
- 容姿
- 体型
- 性格
- 欠点
- 長所
- 短所
- コンプレックス
- ギャップ
- 過去
- 悩み
- 特殊能力などなど
まずはこれらについて、しっかりと書き出し、具体的なエピソードを交えつつ整理しておくと良いだろう。
というのも、「魅力的なキャラ = 魅力的なエピソード」といっても過言ではないからだ。
魅力的なキャラには、例外なく「魅力的なエピソード」というものがある。
こうしたエピソードは沢山あるに超したことはないので、執筆前に沢山のネタを収集しておく必要があるだろう。
そして、ラノベのキャラ設計において最も重要なのは、読み手に「既視感」を与えないことだ。
すでに誰かが書いているようなキャラクターでは、「新人賞」の予選を通過することは、まずできないだろう。
そのためにも、まずは、多くの「キャラクター小説」を読んで見ることをオススメする。
とにかく、多くのサンプルを集めること。
そして、自分のキャラの魅力は何であり、新しさはどこになるか。
そうしたことをじっくりと考えて、キャラクターを創造したい。
先ほども紹介した 【 kindleアンリミテッド 】 を利用すれば、多くのライトノベル作品を読むことができるので、ぜひ利用を検討したい。
魅力的な登場人物とは
基本の考え方/この章の結論
さて、そろそろ、
「で、魅力的な登場人物って、具体的にどんな人物なの?」
という疑問の声が聞こえてきそうなので、出来うる限り解説をしたいと思う。
ただ、最初に断っておかなければならないが、
「この条件とこの条件を備えていれば、魅力的なキャラになる」
といった分かりやすい法則性は、残念ながら存在していない。(そんなモノがあれば、誰だって簡単に魅力的な登場人物を作れるはず)
ここで解説するのは、あくまで「魅力的な登場人物につながりうる一要因」である。
もちろん、それらはプロの作家の言葉や、僕の読書経験や執筆経験をもとにした、それなりに根拠のある要因だ。
とはいえ、それらの要因を全て詰め込めば、魅力的なキャラになるかといえば、決してそうではない。
この辺りが「書き手」の腕の見せ所なので、以下の内容を踏まえてご自分で登場人物を練り上げていただければと思う。
それからここでは、主に「エンタメ系の小説」つまり、中間小説、ミステリー小説、歴史・時代小説、ライトノベルにおける「魅力的な登場人物」を対象にしている。。
先述したとおり、純文学は他とはやや毛色の異なる文学ジャンルだからだ。
極端な話、純文学には、徹底して読者の共感を拒むような不可解なキャラが登場してくることもあり、こうしたキャラについては、言葉でその魅力を解説することは、もはや不可能といわざるを得ない。
ということで、それらの点を踏まえて、さっそく結論から述べよう。
「魅力的なキャラの特徴」を挙げると次の通りだ。
こうして並べてみると、すぐさま気が付くのは、魅力的な登場人物はどちらかといえば「ネガティブな側面が多い」ということだろう。
もっとも、考えてみればすぐに分かることだが「完全無欠な人物」というのは、読者からの共感を得にくいもの。
逆に、欠点、欠陥、欠落、そういった「不完全な人物」というのは、読者からの共感を得やすい。
つまり、魅力的な登場人物というのは、一言でいえば「読者が感情移入しやすい人物」ということになる。
常識的側面が必要
まず、大枠として、「魅力的な人物 = 読者が共感しやすい人物」であると考えられる。
すると、当然、登場人物には「最低限の社会性」や「常識的な感覚」というものがそなわってなければならない。
もちろん、「ひきこもり」が主人公の小説もあれば、「悪人」が主人公の小説もある。
だけど、それが読者を引きつける小説であれば、そうした登場人物には、常識的に理解できる「心理」というものが必ずあるはずなのだ。
そうした“普通の感覚”を持った人物たちが「ひきこもり」になったり、「悪人」になったりするからこそ、読者は彼らを自分のことのように感じ、小説世界に深入りしていくことができる。
つまり、登場人物が「善人」なのか「悪人」なのかは、本質的な問題ではなく、一番大切なことは、その登場人物の言動や心理に「一般的な感覚で理解できる最低限の合理性」が備わっていることなのだ。
たとえば、角田光代の代表作『八日目の蝉』という作品があるが、これは「赤ん坊を誘拐した女性」が主人公の物語だ。
主人公の女性はまぎれもなく「犯罪者」なわけだが、その心理プロセスに説得力があるので、読み手の感情を大きく揺さぶる作品となっている。
また、こちらの作品は映画化されており、そちらも落涙必至の作品となっている。
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常識にとらわれない側面が必要
とはいえ、分かり易すぎる人物というのは、魅力的な登場人物とは言えない。
なぜなら、そうした人物からは、いかなる驚きも発見もないからだ。
読者は少なからず、小説に何かしらの「発見」というものを求めている。
そうした読者の欲求に答えるためには、登場人物に何かしらの「謎」があったほうが良い。
たとえば、伊坂幸太郎の代表作『砂漠』に登場する「西嶋」というキャラクターは、その意外性のあるセリフや行動が魅力的だ。
一見するとデタラメなことばかり言っているのに、どこか物事の本質を突いていて、それでいて読者のハートを温めるような、そんな不思議なキャラクターだ。
また、純文学や中間小説など、登場人物の心理描写が重要なファクターとなるジャンルにおいては、「常識で割り切れない何か」を秘めている人物が求められる。
たとえば、二重人格者を描いた『ジキル博士とハイド氏』なんかがその好例だし、日本の現代作家だと、朝井リョウあたりが絶妙なキャラクターを描く作家だと思う。
オススメは『どうしても生きてる』という短編で、たとえば、希死念慮のある男性の「理解できそうで理解できない」絶妙な心理描写が魅力だ(だけどテーマは重い)。
ちなみに、この作品は 【 Audible(オーディブル) 】 を利用して無料で読めるので、気になる方はぜひ参考にしてみてほしい。
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欠点・欠陥・欠落が必要
小説に限らず、映画や漫画なんかでも常に人々の共感を得る物語がある。
その代表的なものの1つに「成長物語」があげられる。
要するに、「欠点・欠陥・欠落を抱える人物が、紆余曲折を経て、それらを見事に乗り越えていく」といった物語のことだ。
エンタメ系の小説には、こうした物語が多く、読者の涙を誘うものが多い。
ここでいう欠点・欠陥・欠落というのは、たとえば「性格的な難点」だったり、「身体的なハンディ」だったりする。
そうしたハンディに悩み葛藤しつつも、それでも自分らしくあろうとし、強く生きようとする人物は、読者の共感を呼び、その感情を揺さぶる。
例をあげれば、今村夏子の『こちらあみ子』のように、他者とのコミュニケーションがうまくとれない女の子が主人公の作品や、重松清の『青い鳥』のように吃音を持つ教員が主人公の作品あたりは、読者の感情を揺さぶる良作だといえる。
前者は純文学作品で、後者はエンタメ作品なので、それぞれを読み比べてみると、各ジャンルの雰囲気をつかむことができると思う。
秀でた能力が必要
純文学、中間小説は、どちらかといえば「リアルな世界観」が求められるので、「特殊な能力を持つキャラクター」というのは、あまり相性がよくないかも知れない。
逆に、こうしたキャラと相性が良いのは、ミステリー小説、歴史・時代小説、ライトノベルといったジャンルだろう。
特殊能力というのは、たとえば「超絶高いIQ」だったり、「人間離れした身体能力」だったり、「神々しいまでの美貌」だったりする。
たとえば、東野圭吾の「ガリレオシリーズ」では、天才物理学者の湯川学が作品の魅力だといえる。
それから、恩田陸の『蜜蜂と遠雷』は、天才ピアニストたちの頂上決戦を描いた人気作品だ。
主人公が「イケメンすぎる」物語であれば、日本文学の最高峰『源氏物語』がまっさきにあげられるだろう。※現代語訳は「角田光代」のものがオススメ。
こんな風に「秀でた能力」と一口にいっても、精神面、身体面、容貌など、実に様々であることが分かる。
実際に登場人物を設定してみる
「魅力的な登場人物」が、どのような特徴を持つのか理解できたら、いよいよ具体的に設定をしていくことなる。
とはいえ、何から決めていけば良いか分からない人も多いと思うので、まずは次の項目について、思いつくままに書いていくことをオススメしたい。
まず、これら全てについてカンペキに決めておく必要はなく、あくまでもテンプレートの1つとして参考にしてほしい。
手書きでも構わないが、オススメの方法は、PCの「エクセルシート」に登場人物毎に情報を書き込んでいく方法だ。
その際に、登場人物の「履歴書」を作るようなイメージで書き込んでいくとやりやすい。
もしも、登場人物に「モデル」や「イメージする人物」がいれば、その写真なんかも貼ってみても良いだろう。
具体的なビジュアルが浮かべば、執筆する際に、外見の描写も効果的にできるはずだ。
さらに、上記それぞれの項目について、「具体的なエピソード」があれば、それも書き込んでおくと執筆時に役に立つ。
「登場人物に関するイメージは、とにかく具体的かつ多い方が良い」
これは、多くの作家や指南書でも触れられていることで、たとえばミステリー作家の貴志祐介は「登場人物の声」が聞こえてくるまで、徹底的に具体化していくという。
僕の経験上、さすがに「声」が聞こえてくることはなかったが、貴志祐介の言葉は「それくらい徹底的に人物を練り上げていくべきだ」という教訓として受け止めている。
さて、ここまでの僕の解説を読んで、こう思った方もいるとおもう。
「そんなに沢山の情報を生かしきる自信がないんですけど……」
それは全くその通りだと思うし、それはそれで、全く問題はない。
つまり、登場人物についての情報は、全て小説にしなくても問題はないのだ。
書き手が具体的なイメージを持っていれば、執筆の際にそれらが必ず文章に表れるからだ。
逆に、具体的なイメージが乏しいと、書きながら「あれ? ここってどうなってるんだっけ?」と曖昧なまま人物造形を進めてしまい、最悪の場合、致命的な矛盾を生み出すことになりかねない。
創作する上で意識したいこと
この章の結論
ここまで「魅力的な登場人物」について、その特徴や設定の仕方について解説をしてきた。
最後に、魅力的な登場人物を作るために、普段から意識すべきことについて紹介したい。
まず、結論は以下の通りだ。
人間を観察・分析する
いきなり曖昧なアドバイスで恐縮なのだが、とにかく一番大切なのは「“人間”について興味を持つこと」だ。
そして、人間を観察し、分析をしてみることが大切だ。
対象は誰でも良い。
まずは身近な人からで構わない。
いい人も悪い人も、親しい人も苦手な人も。
「どうしてこの人は、こういう言動をするのだろう」
「この人の言動の背景には、いったい何があるのだろう」
こんな風に、とにかくいつも彼らの言動にアンテナをたて、彼らの心理を分析してみる習慣をつける必要がある。(というか、小説を書きたい! って人には、すでにそうした習慣が付いていると思う.……)
想像力を働かせる
その延長で、想像力を働かせることも大切になる。
たとえば、
「もしも、〇〇が××だったら、あの人はどういう言動をしたのだろう」
といった発想で、ひたすら思考を深めていくと良いだろう。
そうした「もしも」の発想は、小説の中心テーマにつながることがある。
ミステリー作家の貴志祐介は次のように説明している。
創造力を膨らませる思考訓練として私がよく実践しているのは「もし〇〇が××だったらどうなるか」ということ。日常生活のなかにある普通の出来事を“ひとひねり”して、みるのだ。そのままの状態であれば珍しい事象でなくても、極端にエスカレートさせてみたり、あるいは図式を逆転させてみたりするとどうなるか、創造をめぐらせてみるのである。(貴志祐介『エンタテイメントの作り方』より)
こうした思考訓練が、魅力的な登場人物を作り上げることへと繋がっていく。
たとえば、文豪の芥川龍之介はその類いまれな想像力によって「極限状況」を作りだし、人間の本性を暴こうとした作家である。
代表作『羅生門』は、まさにそうした作品の代表であり、その発想や構成や心理描写など、参考にする点は非常に多い。
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取材や情報収集を欠かさない
それから、情報収集や取材というのも必要だ。
これは何も、取材旅行へ行こうとか、インタビューをしようとか、そういうことではない。
テレビや映画、マンガ、ニュースからの情報に触れて、ちょっとでも「使えそうだ!」と思ったものは、きちんとメモをしようと言うことなのだ。
たとえば、事件、事故、地域、職業、文化、歴史などなど。
能動的に得た知識も、受動的に得た知識も、「すべては小説の種になるかもしれない!」という意識をもって生活をすることが大切だ。
とにかく読書をしまくる
そして、なんといっても「読書」である。
これは、あらゆる作家、編集者、文芸評論家が口をそろえていうことだ。
「小説家になるためにどんな訓練や習慣が必要ですか?」
こうした質問に対して、村上春樹は次のように答えている。
小説家になろうという人にとって重要なのは、とりあえずたくさん読むことでしょう。実にありきたりな答えで申し訳ないのですが、これはやはり小説を書くための何より大事な、欠かせない訓練になると思います。小説を書くためには、小説というのがどういう成り立ちのものなのか、それを基本から体感として理解しなくてはなりません。
(村上春樹『職業としての小説家』より)
小説を書く上での「読書のメリット」については、この記事で扱い切れないくらいに多い。
ただ、それをムリヤリ一言にまとめるなら、
「書き手・読み手としての目をこやすこと」
ということになるだろう。
それは、言葉で説明できるものでも、言葉で理解できるものでもない。
ホンモノに触れるなかで、体感的に理解すべきものなのだ。
そもそも「小説を書きたい!」と思ったあなたは、一方では「本好き」だったり「読書家」だったりするはずだ。
であれば、なにも難しいことはなく、これまで通り、自分が良いと思う、自分が好きな作品をとことんまで読めばいいのだ。
ただ、これから意識すべきことは、「“自分だったらどう書くか”という視点を持って小説を読むこと」である。
そうした視点で作品を読んでいくと、文章力や表現力、構成力の向上にもつながるからだ。
とはいえ、「読書をしたいけど、時間がない!」という人は実際多いと思う。
ここでも 【 Audible(オーディブル) 】などのオーディオブックを利用すれば、すき間時間で効率的にインプットすることができる。
【 参考記事 】
この記事のまとめ
この記事では主に4つのことについて解説をしてきた。
【 この記事で解説したこと 】 1、小説ジャンルと登場人物の考え方 2、魅力的な登場人物とは何か 3、登場人物を設定する時のポイント 4、普段から意識すべきこと
それぞれのトピックの結論を整理すると、次の通り。
初めて小説を書く人にとって「登場人物の設計」は、とても難しいことに思われるかもしれない。
まずは、ぼんやりとしたもので構わないので、自分の描こうとする人物をイメージし、その特徴について思いつくままに書きつけて行けばOKだ。
あまり難しく考えることなく、まずは、PCの前でキーボードを叩くところから始めることが大切だと思う。
執筆は「自分が楽しんでなんぼ」であり、「自分が気持ちよくてなんぼ」の世界である。
結局のところ、書きたいから書くのであって、その原点を忘れなければ、きっと1つの作品を描き上げられるはずだ。
ぜひ、楽しんで執筆を続けていきましょう。
この記事が、あなたの執筆ライフの一助になれば幸いです。
それでは、最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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