はじめに「セリフの重要性」
この記事にたどり着いたということは、きっとあなたも小説を書く人間の一人なのだと思う。
あるいは、
「これから小説を書いてみたい」
そう思っているかもしれない。
このブログではそんな人たちのために、文学賞への応募をゴールに据えた「小説の執筆プロセス」について詳しく解説をしている。
今回、解説したいのは「魅力的なセリフの作り方」について。
さっそく結論を述べると、次のとおり。
僕自身、大の「文学大好き人間」ということもあって、普段からジャンル問わず多くの小説を読んでいる。
そうした中で、近年、特に感じることがある。
それは「小説におけるセリフの重要性」が高まってきているということだ。
というのも、一昔前の小説比べて、昨今の小説では全体における「セリフが占める割合」が明らかに増えてきているのだ。
そうした傾向は、「エンタメ小説」だけでなく、硬派なイメージの「純文学」においても良く見られる。
また、あらためて言うまでもないが、「魅力的な小説」を作り上げるために「魅力的な登場人物」を書くことが必要不可欠だ。
そして、「魅力的な登場人物」を書くためには「魅力的なセリフ」を書くことが必要不可欠である。
とすれば、その小説が成功するかどうかは「魅力的なセリフを書くことができるかどうか」に大きく左右されるといっても過言ではないだろう。
「どうすれば自然で魅力的なセリフ回しができるの?」
今、タイムリーでこんな疑問を持っている人は、ぜひこの記事を最後まで読んでいただければと思う。
ちなみに僕自身、かれこれ10年以上の執筆歴がある。
その中で、地方文学賞を受賞したこともあるし、大手新人賞で予選通過をしたこともあるし、大手出版社から出版をしたこともあるし、自費出版をしたこともある。
とりあえず、人並み以上に「書くこと」について考えてきた自負はある。
また、執筆する上で数々の指南書、ありていにいえば「ハウツー本」で勉強をしてきた。
この記事では、そうした僕自身の経験と、書籍に記された「プロの意見」を参考にしている。
それでは、最後までお付き合いください。
人物の個性をにじみ出させる
登場人物と一口にいっても、その年齢、性別、性格、学歴、職歴、短所、長所、容姿、体系、趣味、好きな食べ物、過去(恋愛歴、隠し事、特殊体験)などなど、その人物造形は様々である。
とすれば、登場人物それぞれには必ず「個性」というものがあるのであり、小説における一つ一つのセリフは、そうした登場人物の「個性」を具体的に意識しながら選択していく必要がある。
たとえば、「冷静沈着で知的でクールな人物」のセリフならば、セリフのテンションを抑え、ちょっと難しい熟語なんかを交えつつ、普通よりも気取った言い回しを採用した方が良いだろう。
逆に「大胆かつ豪快で一癖ある人物」のセリフならば、セリフのテンションは高めで、論理を吹っ飛ばすようなデタラメで乱暴な言い回しを採用するのが良いかもしれない。
つまり、「魅力的なセリフ」というのは、その1つ1つから、その人物の「人となり」や「個性」がにじみ出るようなセリフだと言っていいだろう。
逆に、そうした「人となり」や「個性」のないセリフというのは、多くの場合は読者に無機質で退屈な印象を与えることになる。
さて、ここまで読んで、うすうす勘付くと思う。
そう、人物の「個性がにじんだセリフ」を書くためには、そもそも書き手が、明確な「人物造形」をしていることが必要不可欠なのである。
つまり、「魅力的なセリフ」を生み出すためには、そもそも「魅力的な登場人物」について考えなくてはならないというワケだ。
とはいえ、
「じゃあ、魅力的な登場人物ってどうやって作ればいいの?」
と思う方も多いと思う。
以下の記事では、「魅力的な登場人物の作り方」について詳しく解説をしているので、ぜひ参考にしていただきたい。
冗長にならないようにする
小説を書くときに気をつけたいこととして、「説明(地の文)」と「セリフ(会話文)との割合」があげられる。
説明文があまりに多すぎると、読者が感じるストレスはそれだけ大きくなってしまうし、逆に会話文があまりに多すぎると、読者に軽く薄っぺらい印象を与えることになってしまう。
「読者を惹きつける小説」を書くために、「セリフの文量」というのをよくよく考えなければならないのだ。
そこで、真っ先に意識をしたいこと、それが「冗長なセリフを避けること」である。
冗長なセリフというのは、要するに「グダグダと長ったらしい説明を人物にしゃべらせること」と言い換えてもいい。
小説を書くうえで大切なテーマの1つに、
「どこまで説明をするか」
というものがある。
これは、古今東西、すべての作家が苦心をしてきたことで、様々な作家が様々な意見を述べている。
たとえば、あの太宰治は、
「削った方が良いかなと悩んだら、思い切って削るべき」
といっているし、あの川端康成は、
「自分なら、会話文の9割は削る」
とまでいっている。
たとえば、あなたが伝統的な純文学を書こうとしているなら、「会話文の9割を削る」という川端康成の助言は大いに役立つかもしれない。
また、エンタメ小説であっても、「このセリフくどいかな? 削った方がいいかな?」と悩んだら、太宰治の助言を踏まえて思い切って削ってもいいかもしれない。
この辺りの「どこまで説明して、どこまで残すか」については、あなたが書こうとしている小説ジャンルにもよるし、キャラクターの人物像にもよるし、あなたがどんな世界観の小説を書きたいのかにもよってくるので、一概に説明することはできない。
さらに、一見して無駄にみえる表現が、小説において絶妙な味わいをもたらすことがあるのもまた事実なので、なんでもかんでも削ればいいという話でもない。
とはいえ、多くの作家たちが「スマートな表現」というのを追求しているのもまた事実なので、ぜひそのことを肝に銘じてセリフづくりに取り組みたい。
ちなみに、「おもしろい小説の作り方」については、以下の記事で詳しく解説をしているので、こちらも参考にどうぞ。
不自然な説明をさける
「不自然な説明を避ける」
これも先ほどの「冗長になりすぎない」と通じる部分があるのだが、結構やりがちな失態だと思う。
特に、長編小説で、中盤から終盤にかけて物語がクライマックスを迎えつつあるときに、やってしまうことが多い(僕も経験あり)。
その最も代表的なものが、「事件の顛末のしつこい確認」なんかがあげられるだろう。
たとえば、ミステリー小説で「事件当時の詳しい状況」や「容疑者Aのアリバイ」を登場人物にくどくどしく説明させるようなものがソレである。
この時、書き手の心理としては、
「大丈夫かな、読者はちゃんと状況を理解してくれているかな」
そんな不安や疑念があるので、
「念のため、事件のおさらいをしておいた方が良いかな」
と考えてしまうのだろう。
それはそれで、もっともな発想で、事件の振り返りをすること自体が決して悪いことではない。
ただ、その「バランス」というのに十分気をつけなければ、大切なクライマックスを台無しにしてしまいかねない。
要するに、これも結局、
「説明しすぎかな? 削った方がいいかな?」
といった話なのだ。
「読者をどこまで信頼するのか」
これは僕が執筆するとき、常に頭の片隅に置いている問いである。
書き手は常にそうした問いと向き合いながら執筆を進めていく必要があるだろう。
状況にマッチしたものにする
あるセリフが「魅力的か」あるいは「効果的か」は、そのセリフ単体で判断することはできない。
どういう状況で、どういう場面で、誰が口にするか。
そうした要因をトータルして判断するべきものなのだ。
と、こう書くと、
「なんだか窮屈だし、めんどくさいな」
と感じてしまう人も多いと思うので、ざっくりとこう言い換えてみるといい。
「そのセリフを仮に、現実の場面で再生したとしたら不自然ではないか」
この観点からセリフを検討してみると、結構、不適切なセリフというのがあぶり出されてくる。
極端な例だが、「時間に追われている状況」とか「差し迫った状況」での会話というのは、現実の場面では「単語のみ」でやり取りされることが多い。
そうした状況下では、妙に冷静な語りや論理的な語りというのは、やはりふさわしくない。
さらによくやってしまいがちなのが、無駄に「オウム返し」のセリフである。
「おい、大変だ!」
「大変って、何が?」
「太郎が交通事故にあった!」
「交通事故ですって?」
「今、病院に運ばれて、意識不明の重体だそうだ」
「意識不明……そんな」
「この後、9時から緊急手術だそうだ。おまえ来れるか?」
「9時ね……分かったわ、すぐにいく」
こうした「オウム返しのセリフ」というのは、基本的に小説においってなんの意味もないと思った方がいいだろう。
もし、この場面を効果的に表現するなら、いっそ「オウム返し」を削ってしまって、登場人物の動揺を「字の文」で説明をするべきだろう。
たとえば、
その瞬間、A子は自分の意識が遠のいていくような感覚に襲われた、であるとか、
次第に、B男の言葉から意味が剥がれ落ちていくような錯覚を覚えた、であるとか、
そうした説明文を織り交ぜることによって、この場面をぐっと引き締めることができると思う。
「セリフは状況にマッチした自然なものを選択する」
ぜひ、このことも意識しながら、セリフ選びを検討したい。
読者の意表を突くようにする
たったいま、「状況にマッチした自然なセリフ」を選択する大切さについて説明をした。
そのことと矛盾をするようだが、実は、次に説明することこそ「魅力的なセリフ」を作り出すうえで最も大切なことだと僕は考えている。
それは、「読者の意表を突くセリフ」を会話中に織り交ぜること、である。
要するに、読者がまったく予想すらしていなかった一言を、登場人物に語らせるというワケだ。
そもそも多くの読者は、小説に「驚き」や「発見」を求めている。
その読者のニーズにこたえるには、常識的な発想だけでは、まずもって不可能だろう。
実際に、あなたが読んだ多くの「おもしろい小説」を思い出してみれば分かると思うのだが、きっと読中に何度も物語に (いい意味で) 裏切られたと思う。
その裏切りの1つに、「登場人物の意外な一言」というのがあったはず。
読者に「驚き」や「発見」を与えるセリフというのは、突き詰めれば、読者を「感動」させるセリフということもできる。
僕自身、多くのすぐれたエンタメ小説を読み、「魅力的なキャラクターとは何か」について考えてきた。
その中で、やはり大いに勉強になったのは、上記のように「読者の意表を突くセリフ」を言うキャラクターたちだった。
個人的に、僕がとても大好きなキャラクターは、人気エンタメ作家「伊坂幸太郎」の作品に登場する、一癖も二癖もあるキャラクターたちである。
たとえば、『砂漠』に登場する「西嶋」という男や、『チルドレン』に登場する「陣内」という男は、まさに「意表をついたセリフ」を吐く興味深い人物である。
読者の固定観念を壊し、しかも、温かい感動を与えてくれるような彼らのセリフに、きっと学ぶ点は多いだろう。
興味のある方は、ぜひ、作品を手に取ってみてほしい。
「よくある悩みと解決策」
最後に、きっと多くの人が一度は持つ悩みについて触れておきたい。
それは、
「自分と性格が違うキャラクターの作り方が分からない」
といったものである。
とかく、小説の人物というのは、作者が色濃く投影されがちである。
それはそれで、決して悪いことではないのだが、だけど、登場してくる人物がみな「作者の分身」のようでは、物語は平板で退屈なものになってしまうだろう。
そこで、書き手は「自分とは価値観や生き方が異なる人物」というのを意識して書きあげなくてはならなくなる。
また、
「小説ジャンルにマッチした“セリフ”選びが分からない」
こんな悩みを抱えている人もいるかもしれない。
というのも、「エンタメ小説」と「純文学」では、当然、作品におけるテンションは異なるからだ。
それに「エンタメ小説」と一口にいっても、「ミステリー」から「ライトノベル」、「時代・歴史小説」など、そのジャンルはさらに多岐に渡っている。
当然、これらの間にも、小説のテンションの違いがある。
さて、こうした悩みはどうすれば解決できるのだろう。
その答えはシンプルで、
「とにかく、優れた作品に多く触れること」
である。
要するに、「読書すること」である。
執筆する上で「読書する」メリットというのは絶大で、ざっと羅列しただけでも、
- 執筆のヒントが得られる。
- 文章力・表現力・構成力が身につく。
- 執筆に必要な資料が集まる。
- 文学賞への対策ができる。
と、これだけある。
「書き手とは異なる価値観を持つキャラクター」の書き方も、「小説ジャンルにマッチしたセリフ」の書き方も、とにかく、多くの優れたサンプルに触れることが、最大の近道だといっていい。
とすると、執筆の最中も、極力読書を続けた方が良いということになる。
そこで、効率よく、かつ、格安で読書をするために、いわゆる「読書のサブスク(定額サービス)」を利用することをオススメしたい。
僕の場合だと、「Audible(オーディブル)」という“本の聞き放題サービス”と、「Kindleアンリミテッド」という“本の読み放題サービス”を利用している。
オーディブルでは、月額1500円で、沢山の人気書籍を「聞き放題」できるので、すき間時間を使って効率的にインプットすることができる。
Kindleアンリミテッドでは、月額980円で、沢山の人気書籍を「読み放題」できるので、経済的な読書をすることができる。
どちらも、スマホやPCがあれば簡単に利用できるサービスなので、気になる方は、ぜひ参考にしていただければと思う。
なお、「オーディブル」や「kindle」について詳しく知りたい方は、以下の記事で詳しく解説をしているので、こちらもぜひ参考にどうぞ。
この記事のまとめ
この記事では、「魅力的なセリフの作り方」について解説してきた。
改めてその結論をまとめると、以下の通り。
初めて小説を書く人にとって「魅力的なセリフ」を作ることは、とても難しいことに思われるかもしれない。
まずは、ぼんやりとしたもので構わないので、自分の描こうとする物語を思いつくままに書きつけて行けばOKだ。
あまり難しく考えることなく、まずは、PCの前でキーボードを叩くところから始めることが大切だと思う。
執筆は「自分が楽しんでなんぼ」であり、「自分が気持ちよくてなんぼ」の世界である。
結局のところ、書きたいから書くのであって、その原点を忘れなければ、きっと1つの作品を描き上げられるはずだ。
ぜひ、楽しんで執筆を続けていきましょう。
この記事が、あなたの執筆ライフの一助になれば幸いです。
それでは、最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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