はじめに「芥川賞」とは
芥川龍之介賞(通称「芥川賞」)は、日本でもっとも有名な文学賞といっても過言ではない。
1935年に芥川龍之介の友人である「菊池寛」によって創設された本賞は、これまでに多くの偉大な作家を輩出してきた。
あの太宰治が欲しくてほしくて仕方なかった本賞だが、小説を書く人であれば、誰しもが受賞を夢見る賞であることは間違いない。
この記事では、そんな芥川賞について徹底解説をする。
- 賞の概要
- 賞創設の経緯
- 受賞作の傾向
- 作家の受賞年齢
- 作家の出身地
- 発行部数ランキング
これら6つについて、過去の受賞作のデータをもとに考察・分析をしてみたい。
芥川賞に興味がある方や、新人賞や芥川賞受賞を狙っている方は、ぜひ参考にしていただきたいと思う。
また、記事の最後では芥川賞を安く効果的に読む方法や、格安で出版する方法についても紹介しているので、ぜひ参考にしていただければと思う。
それでは、お時間のある方は最後までお付き合いください。
「芥川賞とは」を1分で解説
芥川賞は「日本文学振興会」と「文藝春秋社」とが共催する文学賞だ。
対象となるのは、新人作家による「芸術性を踏まえた短編あるいは中編作品」(いわゆる純文学)で、年に2回(上半期7月、下半期1月)開催される。
「公募」の賞ではなく、過去半年に「雑誌」や「同人誌」に発表された作品の中から候補が選ばれ、選考委員の合議によって受賞作が決定される。
正賞は懐中時計、副賞は100万円。
受賞作品は、雑誌『文藝春秋』に全文が掲載される。
それでは、以下、具体的に詳しく解説をしていこう。
菊池寛によって創設
芥川賞の始まりは1935年(昭和10年)のこと。
『文藝春秋』の創始者で、芥川龍之介の友人である「菊池寛」の、次の宣言から始まった。
「芥川」「直木」賞を、いよいよ実行することにした。主旨は、亡友を紀念するかたがた無名もしくは無名に近き新進作家を世に出したい為である。
「文藝春秋」1935年1月号
ここから分かることは、次の3点。
- 「芥川賞」と「直木賞」は同時に生まれた賞であること。
- 創設の精神に、亡友「芥川龍之介」と「直木三十五」へのリスペクトがあること。
- ほとんど無名の新人を発掘するための「新人賞」であること。
なお「芥川賞」と「直木賞」の違いをまとめると以下の通り。
「芥川賞」・・・新人作家による優れた“純文学”作品に与えられる賞。 「直木賞」・・・新人作家による優れた“エンタメ”作品に与えられる賞。
こうした事情は、
芥川龍之介=芸術的・純文学的作家 直木三十五=大衆的・エンタメ的作家
といった菊池寛を初め、当時の世間が持っていたイメージと対応している。
芥川賞が持つ商業的性格
菊池寛によってスタートした「芥川賞」だが、これまで排出してきた作家を上げ出せばキリがなく、日本文学の発展に大きく貢献をしてきた。
まさしく「日本で最も有名な文学賞」といっていいだろう。
とはいえ、こんな批判を耳にしたことはないだろうか。
「芥川賞って、年に2回もいらないよね」
「芥川賞って、話題性ばっかり重視するよね」
「芥川賞って、売れ行きを優先するよね」
これらは全て「芥川賞の商業的な性格」を批判した言葉なわけだが、これらは全て的を射ているといっていい。
といのも、芥川賞というのは、そもそも「商業的性格」を強く持つ賞だからだ。
もっとハッキリ言えば、もともと芥川賞は作品や作家はもとより、媒体である文藝春秋の宣伝のためにやっている賞なのだ。
菊池寛は芥川賞創設当時、次のように明言している。
むろん芥川賞・直木賞などは、半分は雑誌の宣伝にやっているのだ。そのことは最初から明言してある。
『文藝春秋』1935年10月号
だから、上述した世間の批判は全て的を射ているのは間違いないのだが、芥川賞の性質を踏まえれば、
そもそも「芥川賞」ってそういう賞なんだから当たり前だよね
ということになるのだ。
年に2回芥川賞が開催されているのも
「すぐれた新人・作品を輩出する機会を増やしたい」
「本の売り上げ向上を狙いたい」
ということになるし、話題性・売れ行きを大切にするのも
「商業的に良い流れを生み出したい」
ということになる。
ということで、芥川賞がもともと“商業的”な性格を持つ賞だということを忘れてはならない。
受賞作品の傾向
さて、ここでは、芥川賞の過去のデータをもとに「受賞作の傾向」についてまとめたい。
芥川賞を受賞する作品に傾向はあるのか?
この問いに僕は「傾向はある」と答えたい。
では、具体的に受賞作品にはどんな傾向があるのか。
まず、大前提として芥川賞は「純文学作品」に与えられる新人賞である。
純文学とは一口にいえば、
文学・芸術・世界に対する、作者の深く鋭い省察がある作品
ということになる。
要するに、
「文学ってなに?」
「芸術ってなに?」
「人間ってなに?」
「世界ってなに?」
という問いに対して、作者が全身全霊で挑もうとしている作品ということになる。
とはいえ、これだけだとあまりにも曖昧なので、過去の受賞作品や『芥川賞ぜんぶ読む』(宝島社)を参考に、もう少し具体的に分析をしてみる。
すると、受賞作品は、基本的に大きく次の特徴を持っていることが見えてくる。(もちろん例外もある)
1「時代は近現代~現代」、2「舞台は現実世界」という点については、ほぼ全ての作品に共通している点だ。
近年で例外といえるのは、1999年『日蝕』(平野啓一郎)や、2021年『彼岸花が咲く島』(李琴美)だといえる。
両作品の時代・舞台は、
- 『日蝕』・・・「中世ヨーロッパ」が舞台
- 『彼岸花が咲く島』・・・「ニホン」という架空の島が舞台
となっている。
また、3「主人公 ≓ 作者」という点についても、ほぼ全ての作品に共通している点だ。
過去の受賞者の多くは「日本人作家」であるが、作品の主人公もまた「日本人」である。
逆に、外国籍の受賞作家には李恢成 (韓国籍)や、楊逸(中国籍)などがいるが、両者の作品の登場人物もそれぞれ韓国人と中国人である。
さらに、作家の具体的な経歴や経験が、主人公のステータスに大きく関わっている例も多い。
たとえば、
- コンビニバイト経験がある「村田沙耶香」の『コンビニ人間』
- お笑い芸人である「又吉直樹」の『火花』
- ホテルバイト経験がある「今村夏子」の『むらさきのスカートの女』
- ボクシング経験者の「町屋良平」の『1R1分34秒」
- 普段ロードバイクに乗っている「砂川文次」の『ブラックボックス』
といった感じだ。
もちろん、性別や年齢など、細かい設定に多少の相違はあるが、やはり大筋で「主人公」の中に「作者」の姿を見ることができるといっていい。
ちなみに「主人公 ≓ 作者」といった点で例外があるとすれば、
- 遠藤周作『白い人』→主人公は西洋人
- 平野啓一郎『日蝕』→主人公はフランス人
- 李琴美『彼岸花が咲く島』→主人公は「ひのもとぐに」(架空の国)出身。
あたりが上げられる。
さて、以上のように、芥川賞の受賞作品の傾向として、
- 時代は近現代~現代であること
- 舞台は現実世界であること
- 主人公に作者の国籍・アイデンティティが投影されていること
といった3点が上げられる。
実はこれらの特徴は、近代小説の伝統である「私小説」の特徴だといっていい。
明治から昭和初期にかけて、
「純文学=私小説」
といった傾向がはっきりとあり、この頃の文学の多くは「主人公=作者自身」として描かれてきたのだ。
作品の舞台も作者と同時代だし、物語にも作者が見聞きしたことが影響しているし、主人公の設定も作者とほぼイコールだった。
とすれば、「純文学」の新人賞である「芥川賞」に上記の3つの傾向があるのも納得の話しなのである。
近代文学と現代文学とは、その様相はかなり異なってはいるものの、「私小説的」といった点で、やはり両者は共通していると僕は見ている。
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作家の受賞年齢の一覧
ここでは、第1回から現在(2023年)までの芥川賞作家の「受賞年齢データ」を年代別にまとめてみたい。
こうしてみると受賞者のボリュームゾーンは20代~40代であり、特に30代での受賞が圧倒的に多いということが分かる。
ちなみに受賞者の平均年齢については、ざっくり「37歳」である。
では、次に各年代の内訳をまとめてみよう。
10代(1人)
- 10
- 11
- 12
- 13
- 14
- 15
- 16
- 17
- 18
- 19・・・1人
20代(27人)
- 20・・・1人
- 21・・・1人
- 22
- 23・・・5人
- 24・・・2人
- 25
- 26・・・2人
- 27・・・5人
- 28・・・4人
- 29・・・7人
30代(98人)
- 30・・・9人
- 31・・・7人
- 32・・・5人
- 33・・・12人
- 34・・・11人
- 35・・・9人
- 36・・・15人
- 37・・・15人
- 38・・・8人
- 39・・・7人
40代(42人)
- 40・・・2人
- 41・・・4人
- 42・・・9人
- 43・・・5人
- 44・・・6人
- 45・・・5人
- 46・・・3人
- 47・・・2人
- 48・・・3人
- 49・・・3人
50代(8人)
- 50・・・3人
- 51・・・1人
- 52・・・1人
- 53
- 54・・・1人
- 55・・・1人
- 56
- 57・・・1人
- 58
- 59
60代(2人)
- 60
- 61・・・1人
- 62
- 63・・・1人
- 64
- 65
- 66
- 67
- 68
- 69
70代(1人)
- 70
- 71
- 72
- 73
- 74
- 75・・・1人
- 76
- 77
- 78
- 79
最年少記録 と 最年長記録
まず、芥川賞最年少記録がこちら。
作家名 | 受賞年齢 | 受賞作 | |
1 | 綿矢 りさ | 19歳11か月 | 第130回「蹴りたい背中」 |
2 | 金原 ひとみ | 20歳5か月 | 第130回「蛇にピアス」 |
3 | 宇佐見 りん | 21歳8か月 | 第164回「推し、燃ゆ」 |
4 | 丸山 健二 | 23歳0か月 | 第56回「夏の流れ」 |
5 | 石原 慎太郎 | 23歳3ヵ月 | 第34回「太陽の季節」 |
6 | 大江健三郎 | 23歳5か月 | 第39回「飼育」 |
7 | 平野啓一郎 | 23歳6か月 | 第120回「日蝕」 |
8 | 青山七恵 | 23歳11か月 | 第136回「ひとり日和」 |
9 | 村上龍 | 24歳4か月 | 第75回「限りなく透明に近いブルー」 |
2003年下半期の芥川賞では、当時の最年少記録を塗り替えた二人の女性作家が登場した。
綿矢りさと金原ひとみである。
当時の最年少記録は丸山健司の23歳で、それを大きく上回る20歳と19歳の女性作家は世間を大きくにぎわせた。
2人のビジュアルが良かったことも、それに拍車をかけていたわけだが、どちらの作品も本格的で 少女の繊細な心理を見事に描き切っていた。
そして2021年、記録更新とまではいかなかったものの、宇佐見りんの登場も話題になった。
21歳での受賞は、歴代3位となる記録だったが、すでに三島由紀夫賞を受賞していた宇佐見りんの実力は多くの作家や文学ファンが認めるものだった。
ちなみに宇佐見りんは、2022年には野間文芸新人賞にノミネートされている。
残念ながら受賞には至らなかったが、近い将来に受賞することができれば、宇佐見りんは史上最年少で「純文学新人賞3冠達成」ということになる。
次に、最年長記録についてはこちら。
作家名 | 受賞年齢 | 受賞作 | |
1 | 黒田 夏子 | 75歳9か月 | 第148回「abさんご」 |
2 | 若竹 千佐子 | 63歳 | 第158回「おらおらでひとりいぐも」 |
3 | 森 敦 | 61歳11か月 | 第70回「月山」 |
4 | 三浦 清宏 | 57歳4か月 | 第98回「長男の出家」 |
5 | 米谷 ふみ子 | 55歳2か月 | 第94回「過越しの祭」 |
2013年、当時75歳の黒田夏子が『abさんご』で芥川賞を受賞し、最年長記録を大きく塗り替えた。
“75歳の新人”の登場は世間でも大きく話題になったが、一方で『abさんご』という作品が芥川賞史上初の「横書き」作品だったことも、文学フリークの間で話題になった。
さて、この「横書き」という実験的な手法を採用する75歳、
「これはタダもんじゃないぞ」
といった予感がしないだろうか。
実は黒田夏子の作家デビューは1936年、読売短編小説賞を受賞してのことだった。
その後も、ずっと執筆は続けてきた作家であり、要するに彼女は「新人」とは言い難いほど経験豊富な作家だったのだ。
黒田夏子以前の最長記録は、1974年に受賞した森敦(『月山』)の61歳。
森もまた黒田と同じで、彼も若くして作家デビューした人物だ。
しかも凄いのは、若くして菊池寛に見いだされ、横光利一に師事し、あの太宰治・檀一雄・中原中也の同人として創作をしていたことだ。
ということで、こちらも「新人」と呼ぶのに抵抗がある作家である。
黒田夏子、森敦、どちらの受賞も「高齢新人の芥川賞受賞」と印象的に語られがちだが、その実態は「長く世間から離れていたベテラン作家の芥川賞受賞」というものなのだ。
だけど、2018年に正真正銘の新人作家「若竹千佐子」が63歳という史上2番目の高齢で受賞する。
若竹千佐子が小説を書き始めたのは55歳のこと。
夫の突然の死がきっかけだったという。
小説講座に通いつつ地道に執筆をつづけ、63歳のときに『おらおらでひとりいぐも』文藝賞を受賞し、同作で芥川賞受賞となった。
若竹千佐子はこう語っている。
「夫の死をきっかけに発見したことをどうしても書きたい。これを書かずには前に進めないという気持ちで書いた作品です。夫も喜んでくれていると思います」
「週刊文春」インタビューより
なんというか、文学ってこうあるべきだと、つくづく思う。
作家の出身地の一覧
ここでは、第1回から現在(2023年)までの芥川賞作家の「出身県」をまとめてみたい。
- 北海道・・・12人
- 青森県・・・2人
- 岩手県・・・1人
- 宮城県・・・3人
- 秋田県・・・1人
- 山形県・・・4人
- 福島県・・・4人
- 茨城県・・・0人
- 栃木県・・・0人
- 群馬県・・・1人
- 埼玉県・・・2人
- 千葉県・・・3人
- 東京都・・・35人
- 神奈川県・・・12人
- 新潟県・・・4人
- 富山県・・・2人
- 石川県・・・1人
- 福井県・・・2人
- 山梨県・・・3人
- 長野県・・・1人
- 岐阜県・・・2人
- 静岡県・・・3人
- 愛知県・・・3人
- 三重県・・・3人
- 滋賀県・・・1人
- 京都府・・・4人
- 大阪府・・・19人
- 兵庫県・・・6人
- 奈良県・・・1人
- 和歌山県・・・2人
- 鳥取県・・・0人
- 島根県・・・0人
- 岡山県・・・2人
- 広島県・・・1人
- 山口県・・・3人
- 徳島県・・・0人
- 香川県・・・1人
- 愛媛県・・・2人
- 高知県・・・1人
- 福岡県・・・10人
- 佐賀県・・・0人
- 長崎県・・・6人
- 熊本県・・・0人
- 大分県・・・3人
- 宮崎県・・・0人
- 鹿児島県・・・0人
- 沖縄県・・・3人
- サハリン・・・1人
- 満州・・・2人
- 朝鮮・・・1人
- 台湾・・・2人
- 中国・・・2人
- フィリピン・・・1人
以上を踏まえて、ベスト5をまとめるとこうなる。
こうしてみると、あたりまえだが都市の規模や人工との相関が大きいことが分かる。
参考までに、「ブロック大会」の要領で地域別の人数をまとめたのが以下だ。
【北海道ブロック】(12人)
- 北海道・・・12人
【東北ブロック】(15人)
- 青森県・・・2人
- 岩手県・・・1人
- 宮城県・・・3人
- 秋田県・・・1人
- 山形県・・・4人
- 福島県・・・4人
【関東ブロック】(58人)
- 茨城県・・・0人
- 栃木県・・・0人
- 群馬県・・・1人
- 埼玉県・・・2人
- 千葉県・・・3人
- 東京都・・・35人
- 神奈川県・・・12人
- 山梨県・・・3人
【北信越ブロック】(10人)
- 新潟県・・・4人
- 富山県・・・2人
- 石川県・・・1人
- 福井県・・・2人
- 長野県・・・1人
【東海ブロック】(11人)
- 岐阜県・・・2人
- 静岡県・・・3人
- 愛知県・・・3人
- 三重県・・・3人
【近畿ブロック】(33人)
- 滋賀県・・・1人
- 京都府・・・4人
- 大阪府・・・19人
- 兵庫県・・・6人
- 奈良県・・・1人
- 和歌山県・・・2人
【中国ブロック】(6人)
- 鳥取県・・・0人
- 島根県・・・0人
- 岡山県・・・2人
- 広島県・・・1人
- 山口県・・・3人
【四国ブロック】(4人)
- 徳島県・・・0人
- 香川県・・・1人
- 愛媛県・・・2人
- 高知県・・・1人
【九州ブロック】(22人)
- 福岡県・・・10人
- 佐賀県・・・0人
- 長崎県・・・6人
- 熊本県・・・0人
- 大分県・・・3人
- 宮崎県・・・0人
- 鹿児島県・・・0人
- 沖縄県・・・3人
【海外ブロック】(9人)
- サハリン・・・1人
- 満州・・・2人
- 朝鮮・・・1人
- 台湾・・・2人
- 中国・・・2人
- フィリピン・・・1人
こうしてみてみると、都市の規模や人工のわりに(失礼)【東北ブロック】の活躍がめざましい。
一方、【中国ブロック】や【四国ブロック】、【九州ブロック】において、「受賞者なし」の県が散見され、やや寂しい。
ちなみに、海外組のうち外国籍(受賞時)の作家は李恢成(韓国籍)、楊逸(中国籍)、李琴峰(台湾籍)となっている。
日本籍の海外組の多くは、戦後に引き上げしてきた人たちで、受賞年は1960年代~1970年代に集中している。
発行部数ランキング
まず前提として、売り上げは常に変動し続けるものなので、数字はあくまでも“推定”であり“暫定”であることをご理解いただきたい。
とはいえ、こうしてみると1位の『限りなく透明に近いブルー』の圧倒的売り上げ数に驚く。
本作の受賞は1976年のことだが、その登場はかなりセンセーショナルなものだった。
『限りなく透明に近いブルー』は当時としてあまりに暴力的で性的だったため、嫌悪感を抱いた選考委員が自ら退任するという事件まで起きている。
そんな作品なので、当時からかなり世間の注目を集めたわけだが、40年近くたった今でも不動の人気を獲得し続けているというのは、芥川賞史上で本作だけだろう。
その後を追うのが又吉直樹の『火花』だ。
この作品は言わずもがな。
芥川賞にノミネート前からすでに話題だった本作は、受賞後すぐに239万部を突破。
累計では『限りなく透明に近いブルー』に劣るが、発売年を考えれば『火花』が実質的に「もっとも売れた芥川賞」だといっていいだろう。
これまで純文学に興味のなかった読者たちの注目を集めたという意味でも、又吉の功績はとても大きい。
おわりに
以上、日本で最も有名な文学賞「芥川龍之介賞」について、
- 賞の概要
- 賞創設の経緯
- 受賞作の傾向
- 作家の受賞年齢
- 作家の出身地
- 発行部数ランキング
を解説してきた。
この記事を通して「芥川賞」に興味を持ってくれたなら とても嬉しい。
もし「おもしろい芥川賞作品を読んでみたい」と思った方は、ぜひこちらの記事も参考にしていただければと思う。
【 参考記事 【本当におもしろい】おすすめ芥川賞作品5選 】
また、芥川賞を真剣に狙っているというかたは、ぜひこちらの記事も参考にしていただきたい。
【 参考記事 解説【芥川賞を取るには】—どうやってノミネートされ、どうやって選ばれるのか— 】
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『推し、燃ゆ』(宇佐見りん)や、『むらさきのスカートの女』(今村夏子)や、『おいしいご飯が食べられますように』(高瀬隼子) を始めとした人気芥川賞作品は、ほとんど読み放題の対象となっている。
しかも、芥川賞作品に限らず、川上未映子や平野啓一郎などの純文学作品や、伊坂幸太郎や森見登美彦などのエンタメ小説の品揃えも充実している。
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