はじめに「地方文学賞は意外と多い」
日本における「公募の文学賞」は多く、小説だけでも大小合わせてザっと150近くの賞が存在している。
その中で「地方主催の文学賞」が占める割合は、約3~4割程度。
現役作家が選考する賞があるかと思えば、新聞社の編集者が選好する賞もありと、その中身は実に様々だ。
また、「〇〇市在住のかた限定」とか「〇〇市にゆかりのある物語限定」とか、そうした制限を置く賞もあるので、「自分がどの賞に出せるのか」ある程度リサーチする必要がある。
そこでこの記事では、「地方主催の文学賞」について解説をしたい。
まず「地方文学賞の利点・難点」と、「地方文学賞に向いている人」について解説をし、その後に「オススメ文学賞」として、“高水準”の賞をいくつか紹介する。
中には作家デビューの可能性のある文学賞もあるので、ぜひチェックしてほしい。
また最後に、小説を執筆している人に向けて、執筆に役立つ「オススメサービス」と「格安出版の方法」について紹介できればと思う。
参考までに、恥ずかしながら僕の「執筆経歴」については(ぱっとしないけど)以下に挙げておく。
それではお時間のある方は、ぜひ最後までお付き合いください。
地方文学賞の“利点”とは
まずは地方文学賞の利点について、結論から言うと次の3点が挙げられる。
- 応募総数が少ない点
- 応募作品のレベルが高くない点
- 作品の規定枚数が少ない点
文学賞への応募を決めると、次のステップとして「どの文学賞に応募すべきか?」を検討することとなる。
もちろんいきなり「大手出版社主催の新人賞」に応募したって構わない。(実際に、そうやってデビューした作家は数多い)
ただ、大手の新人賞は、初めて文学賞に応募する人にとってハードルが高いのもまた事実。
そう言えるのは、大手の新人賞には主に3つの共通点があるからだ。
- 応募総数が多い点
- 応募作品のレベルが高い点
- 作品の規定枚数が多い点
まず、大手の新人賞のほとんどに、毎年約2000篇程度の作品が集まってくる。(最も多いもので3000~4000編なんて賞もある)
その膨大な応募総数の中から新人賞を受賞できるのは1~2作品。
となると、倍率もまた1000~2000倍ということになり、はっきり言ってこれは絶望的な数字だと言わざるを得ない。
また、大手に応募してくる書き手の中には「作家として生きていきたい」という強い思いを持つ者が多いので、必然的に集まってくる作品のレベルもグッと上がることになる。
さらに、大手の新人賞では「受賞作の書籍化」を前提にした賞が多いため、作品の規定枚数も平均して200~400枚(400字詰原稿)と多めになっている。
以上の点において、「初めて文学賞に応募する」って人にとって、やはり大手新人賞のハードルは高いといえる。
逆に地方文学賞であれば、応募総数は少なめだし、作品のレベルも大手程じゃないし、規定枚数も比較的少ない。
もしもあなたが
「まずは手軽なところで腕試ししてみたい」
そう考えるのなら、地方文学賞はとても最適な応募先だと思う。
地方文学賞の“難点”とは
今度は逆に、地方文学賞の難点について考えてみたい。
その難点とは、なんといっても次の3点だろう。
- 作家デビューにつながりにくい点
- 書籍の単独出版につながりにくい点
- 印税が手に入らない点
以上について、もう少し詳しく説明したい。
まず、地方文学賞が直接のきっかけとなってデビューした作家というのは、驚くほど少ない。
作家デビューできる地方文学賞といえば「太宰治賞」が有名だが、ここ数年で注目され出したのが「京都文学賞」だ。(これについては後述する)
ただこれらの賞は例外中の例外であって、その他の文学賞から作家デビューできる可能性はほとんどゼロに近い。
書籍化についても同様で、地方のPR誌や、受賞作品集、地方新聞に受賞作品が掲載されることはあるけれど、出版社から単独で書籍化されるってことは基本的にない。
さらに、PR誌や作品集に受賞作品が掲載され書店にならんだとしても、そこに夢の「印税」が発生することもない。
ということで、「地方文学賞」の大きな難点を3点あげた。
とはいえ、だからこそ、地方文学賞には大手にない「手ごろさ」があるわけなので、こうした特徴を“利点”ととらえるか“難点”と捉えるかは人それぞれだろう。
地方文学賞に応募すべき人
以上を踏まえて、次のような人は地方文学賞への応募を検討したい。
- 小説を書き始めて間もない人
- 手ごろなところで腕試ししたい人
- 長編小説に自信がない人
- 作家デビューにこだわらない人
- 書籍化や印税にこだわらない人
ちなみに、大事な大事な「賞金」について述べておくと、地方文学賞の賞金は、大手と比べてほとんど遜色がない。
受賞へのハードルは低いにもかかわらず、賞金に関しては「100万円」とか「200万円」とか、大手のそれとほとんど変わらないのだ。
これは凄いことだ。
いや、皆さんが金のために執筆しているわけでもなければ、金のために文学賞に応募するわけでもないことくらい僕だって百も承知である。
だけど、やっぱりここについてのコスパの良さというか、経済性の高さというかは、やはり注目すべき点だと思うのだ。
ちなみに僕は、大手の賞では2次止まりだった作品で、見事地方文学賞を受賞し賞金30万円をありがたく頂戴したクチである。
こんなことだってあるわけなので、皆さんもぜひ参考にしていただけると嬉しい。
“オススメ”の地方文学賞
さて、ここからは数ある地方文学賞の中から、僕が思うオススメの文学賞をいくつか紹介しようと思う。
選んだ観点は主に次の4点だ。
書籍化の可能性があること
作家デビューの可能性があること
選考委員が信頼できること
賞金が高いこと
ここでは、地方文学賞の中でも実績があり、選考委員も信頼できる、レベルの高い賞を厳選した。
紹介する中には、地本文学賞としては珍しく、「書籍化」や「作家デビュー」、もっといえば「芥川賞ノミネート」の可能性を持つ文学賞もある。
なので、以下で紹介する賞は「地方文学賞とはいえ、それなりの水準の賞に出したい!」といった人向けの賞と考えてもらえればと思う。
なお「作家デビューできるか」や「単独書籍化できるか」の可能性については、
3段階評価( 〇…可能性あり、△…可能性ほぼなし、×…可能性なし )
で表しているので こちらも参考にどうぞ。
太宰治賞
【一言コメント】
地方文学賞の“王様”ともいえる賞で、応募総数も多く、受賞の難易度も大手に比肩する。
宮本輝や今村夏子などの芥川賞作家を輩出しており、地方文学賞の中でも「作家デビュー」への道が開ける賞の一つ。
ジャンル不問とあるが、過去の受賞作は“純文学的”なものが多い。
余談だが、僕は“宗教”テーマにした作品で2次選考に進出したことがある。
京都文学賞
【一言コメント】
令和元年に創設された新興の文学賞であり、いまもっとも注目を集める文学賞。
京都を題材にした小説であれば、その他の制限はなく、ジャンルも問わない。
受賞作品は「新潮社」や「講談社」、「河出書房新社」といった超大手出版社から出版されている。
2022年度の最優秀賞受賞作『鴨川ランナー』( グレゴリー・ケズナジャット)が、2023年の上半期芥川賞の候補にノミネートされるなど、新興の文学賞とは思えない勢いを見せている。
ジャンル不問ということで、純文学はもちろん、歴史・時代小説、ファンタジー小説など、応募作品は多岐に渡っている。
まだまだ応募総数は少ないが、いずれ「太宰治賞」のように大型の地方文学賞へと成長すると僕は確信している。
林芙美子文学賞
【一言コメント】
2015年にスタートした比較的新しい文学賞。
短編小説と中編小説を対象としている。
審査委員がすべて大御所の女流作家というのが大きな特徴。
2020年に芥川賞を受賞した高山羽根子は、第二回の受賞者。
受賞作品は『小説トリッパー』に掲載されるということだが、この文芸誌は過去に芥川賞を輩出した本格的な「純文学系」の文芸誌である。
よって、本賞に求められる作風もまた「純文学的」だといっていいだろう。
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やまなし文学賞
【一言コメント】
30年以上の歴史を持つ文学賞で、短編小説を対象としている。
選考委員が超豪華で、「芥川賞」や「三島由紀夫賞」などの選考委員の経験を持つ作家らが務める。
受賞作品は単行本化されるものの、作家として生きていくのは現実的に厳しいといった印象。
小説部門とは別に、研究・評論部門があるが、むしろこっちの方が華々しい印象がる。
北日本文学賞
【一言コメント】
短編小説の“登竜門”と言われる賞で、応募総数も多い。
受賞者の中から、その後に作家としてデビューしたものもいる。
ジャンル不問とあるが、過去の受賞作品は「純文学」的な作品や「 中間小説」的な作品が多いという印象。
1次から4次選考まで、順次通過者が発表されるので、実力を試すのにピッタリ。
選考委員がもと芥川賞選考委員の宮本輝というのも、この賞の格調を高める大きな要因だ。
余談だが、僕は“家族”をテーマにした作品で3次選考に進出したことがある。
坊っちゃん文学賞
【一言コメント】
かつては短編小説を対象にした文学賞だったが、2020年からは「ショートショート」を対象にした文学賞としてリニューアル。
7000近くの応募総数は目を見張るものがあるが、決してハードルが高いわけではない。
リニューアル以前には、瀬尾まい子(本屋大賞受賞作家)などの大物作家を輩出したこともあったが、リニューアル以降の有名作家の輩出はない。
とはいえ、受賞作品集が「学研プラス」から出版されたこともあり、書籍化の可能性はある。
また、選考委員に映画監督がいることもあり、今後はショートムービー化もありうる。
ちよだ文学賞
【一言コメント】
2006年に始まった文学賞で、短編小説を対象にしている。
100万という賞金額は、短編小説の文学賞の中では破格。
ジャンル不問とあるが、選考委員が「中間小説系」の作家ということを踏まえると、ややライトな作風が好まれるか。
単独の書籍化や作家デビューは、過去にほとんど例がない。
例外として、3回の大賞受賞作「森崎書店の日々」は、2010年に菊池亜希子主演で映画化されている。
北区内田康夫ミステリー
【一言コメント】
2002年にミステリー作家の内田康夫の協力のもと創設。
対象は短編のミステリー小説。
ミステリーといえば長編なので、「かえって短編のほうが難しいのでは?」と個人的に思ってしまう。
作家デビューや書籍化の可能性は極めて低いが、受賞作は演劇化され、翌年の授賞式で上演される。
この「舞台化」という特典は、文学賞の中でも超異色。
効果的に「対策」をするには
文学賞への応募を検討している方は、その対策として傑作・名作を数多く読む必要がある。
こうした作品を分析することの大切さは、多くの選考委員や編集者が口をそろえて言っていることだ。
優れた作品を読む意義は大きく次の5つ。
- 文章力が身につく。
- 物語の構成力が身につく。
- 作家としての感性が養える。
- 読者・選考委員に評価される小説が分かる。
- 過去の作品の類似を避けられる。
ということで、過去の優れた小説を 効率的に読むためのオススメサービスを2つ紹介しようと思う。
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