はじめに
作家になりたい!
そう考えた時に一番手っ取り早い方法は「公募制新人賞を受賞すること」だ。
ただし、書き上げた作品を手あたり次第の賞に応募する、なんてことは絶対にやってはいけない。
「自分の作品がどのジャンルに属するのか」
まずはそのことを分析し、そのうえで、正しく応募先を検討しなければならない。
この記事では、おもに「ライトノベル」の新人賞について解説をしていく。
- ライトノベルの新人賞について知りたい
- おすすめの新人賞について知りたい
- 新人賞を取るための対策について知りたい
そんな人はぜひ最後まで読んでいただけると嬉しい。
また、最後に作品を書く上で便利な「おすすめサービス」についても紹介するので、そちらも参考にしていただければと思う。
参考までに、恥ずかしながら僕の「執筆経歴」については(ぱっとしないけど)以下に挙げておく。
では、どうぞ、最後までお付き合いください。
「ライトノベル」とは
さっそく、ライトノベルを辞書で引くと次の通り。
小説の分類の一つ。SFやホラー、ミステリー、ファンタジー、恋愛などの要素を、軽い文体でわかりやすく書いた若者向けの娯楽小説をいうが、明確な定義はない。
「日本大百科全書(ニッポニカ)」より
なるほど、ライトノベルの特徴はSF、ミステリー、ファンタジー、恋愛など「エンタメにありがちなジャンル」を扱い、「軽くわかりやすい文体」で表現した「若者をターゲット」にしている文芸ということができそうだ。
とはいえ、これだけでは正直いって「一般小説」と「ライトノベル」の違いを明確に説明したことにはならない。
そこで、ここに加えて、以下のような特徴を加えたい。
なお、「ライトノベルとは何か」について、より詳しく知りたい方は、以下の記事を参照していただきたい。
【 「ライトノベルとは何か」その特徴や定義を簡単に解説~一般小説との違いを考察~ 】
「ライトノベル新人賞」の一覧
公募制のライトノベル新人賞は数多くあるが、それを一覧で比較したのがこちら。
※オススメ度については『公募ガイド』を参考。
タイトル | 締切 | 枚数 | 賞金 | 応募数 | オススメ度 |
電撃小説大賞 | 4月初旬 | 42×34で 80~130枚 | 300万 | 4500編前後 | 5 |
講談社ラノベ文庫新人賞 | 5月初旬 11月初旬 | 40×34で 80~150枚 | 300万 | 350編前後 | 4 |
集英社ライトノベル新人賞 | 8月末 | 42×34で 50~200枚 | 300万 | 700編前後 | 4 |
小学館ライトノベル大賞 | 9月末 | 42×34で 80~130枚 | 200万 | 1300編前後 | 4 |
富士見ノベル大賞 | 5月初旬 | 42×34で 100~150枚 | 100万 | 100編前後 | 3 |
ファンタジア大賞 | 2月末 8月末 | 40×16で 200~270枚 | 300万 | 600編前後 | 3 |
MF文庫Jライトノベル新人賞 | 3、6、9、 12月末 | 40×34で 80~150枚 | 300万 | 450編前後 | 3 |
スニーカー大賞 | 3月末 9月末 | 40×32で 100~130枚 | 300万 | 1200編前後 | 3 |
角川ビーンズ小説大賞 | 3月末 | 10万~15万字 | 100万 | 400編前後 | 3 |
ビーズログ小説大賞 | 5月初旬 | 40×34で 80~130枚 | 50万 | 350編前後 | 3 |
GA文庫大賞 | 5月末 11月末 | 42×34で 80~130枚 | 300万 | 750編前後 | 3 |
HJ小説大賞 小説家になろう部門 | 6月末 | 10万字以上 | 300万 | 2700編前後 | 3 |
ジャンプ小説新人賞 | 10月末 | 40×32で 10~30枚 | 50万円 | 非公表 | 3 |
角川ルビー小説大賞 | 3月末 | 42×34で 65~130枚 | 100万 | 非公表 | 3 |
以上を踏まえて、いくつか補足説明したい。
まず、作品の規定枚数ついてだが、たとえば「電撃小説大賞」の
「42×34で80~130枚」 = 「400字詰原稿用紙で約230~380枚」
ということになる。
よって、ライトノベルの新人賞の多くが、長編小説を対象にしていることがわかる。
また、賞金の多さもライトノベル新人賞の特徴で、他の小説ジャンルと比べてとても高い。
参考までに比較するとこんな感じ。
- 文學界新人賞(純文学)……50万円
- 小説すばる新人賞(エンタメ)……200万円
- 電撃小説大賞(ラノベ)……300万
この辺りから言えることは、当然「ラノベ」には「売れる作品」というのが露骨に求められていることだ。
以下は、小学館主催の「講小学館ライトノベル大賞」における「編集部による講評」の引用である。
自分が書きたいものだけを書いて世間に認められることはほぼありません。しかし、客観的な視点や、商業的観点から作品を見つめ、ストーリーを研ぎ澄ましていくことで読者の心に刺さり得る作品に近付けることは可能です。自分の文章、ストーリー、キャラクターと今一度向き合い、あなたにしか作れない唯一無二の作品を引っさげて次回も応募してきてくれることを心より願っています。
ライトノベルの新人賞では「その作品が売れる作品かどうか」といった点が重要であることを教える講評であり、他のレーベルの編集者もまた「売れる作品かどうかが大切である」ことを異口同音に述べている。
次に、そんなライトノベル新人賞の中で、特に人気のある新人賞について紹介をしていきたい。
電撃小説大賞 が人気・実績№1
出版社 | KADOKAWA (アスキー・メディアワークス) |
賞金 | 300万(+記念品) |
枚数 | 42×34で80~130枚 |
応募総数 | 4500編程度 |
倍率 | 約800~1000倍 |
応募締め切り | 4月初旬 |
発表 | 10月上旬HPにて |
ライトノベルの新人賞の中では「電撃小説大賞」が人気・実績共に№1だと言っていい。
それを最も象徴するのが、応募総数の圧倒的な多さだろう。
最も多かったのは第20回(2012年)の6554作品。
近年では4000~5000あたりで推移していて、他のラノベ新人賞の追随を許さぬ勢いだ。
各賞については以下の通り。
- 大賞……正賞+副賞300万円、受賞作品にてデビュー
- 金賞……正賞+副賞100万円、受賞作品にてデビュー
- 銀賞……正賞+副賞50万円、受賞作品にてデビュー
- メディアワークス文庫賞……正賞+副賞100万円、受賞作品にてデビュー
上記以外にも、年によって、選考委員奨励賞(正賞+副賞10万円 )や、電撃文庫MAGAZINE賞(正賞+副賞30万円)の選出がある。
また、ラノベ新人賞の中でも歴史が長く、1994年の第1回以降、数多くの人気作家を生み出してきた。
- 高畑京一郎(金賞でデビュー)
- 古橋秀之(大賞でデビュー)
- 上遠野浩平(大賞でデビュー)
- 阿智太郎(銀賞でデビュー)
- 成田良悟(金賞でデビュー)
- 有川浩(大賞でデビュー)
- 川原礫(大賞でデビュー)
もはやラノベ界では説明不要の『ソードアート・オンライン』シリーズで人気を博している川原礫や、ラノベの垣根を越え幅広いエンタメジャンルで活躍する有川浩をはじめ、そうそうたる面々が並ぶ。
電撃小説大賞の特徴として、「大賞受賞に至らなくても作家デビューできる」という点が挙げられる。
- 秋山瑞人(選考外)
- 時雨沢恵一(最終候補で落選)
- 鎌池和馬(3次選考で落選)
- 三上延(3次選考で落選)
- 伏見つかさ(3次選考で落選)
最終選考のみならず、3次選考でデビューというのもすごいのだけど、驚くべきは秋山瑞人のように「選考外」からのデビューだ。
なんでも、応募期日に間に合わず、選考の土俵にも上がらなかった作品を、編集者が目をつけ受賞に至ったという。
こんなふうに、電撃小説大賞は、数多くの人気作家を生み出してきた人気実績ともに№1の新人賞であり、しかも、デビューの間口もとても広いという夢のある賞なのだ。
ライトノベル作家への夢を持つ書き手であれば、思い切ってチャレンジしてみたい。
【 参考記事 電撃小説大賞(ラノベ新人賞)の傾向と特徴を解説 】
講談社ラノベ文庫新人賞
電撃小説新人賞以外だと、講談社、集英社、小学館など大手出版による新人賞が後を追う形になっている。
まずは、講談社ラノベ文庫新人賞の概要や特徴について簡単に触れておこう。
出版社 | 講談社 |
賞金 | 300万(+記念品) |
枚数 | 40×34で80~150枚 |
応募総数 | 350編程度 |
倍率 | 約80~100倍 |
応募締め切り | 5月初旬 11月初旬 |
発表 | 10月末頃HPにて |
賞の種類と賞金は以下の通り。
- 大賞……賞金100万円+出版化
- 優秀賞……賞金50万円+出版化
- 佳作……賞金30万円+出版化
応募総数は毎年300~400を推移しており、多い時には500編を超えることもある。
選考はかなり厳正に行われている印象で、年によって「大賞なし」や「佳作のみ」なんていう年もあるが、いずれもきちんと出版されているようなので、とにかく受賞さえすれば作家デビューは約束されているといっていい。
また、2次選考通過者以上には担当の編集者がつくので、そこからのデビューの可能性も大いにある。
新人発掘や新人育成に積極的に力を入れている辺りは「さすが講談社」といった感じ。
集英社ライトノベル新人賞
出版社 | 集英社 |
賞金 | 300万(+記念品) |
枚数 | 42×34で50~200枚 |
応募総数 | 700編程度 |
倍率 | 約300~400倍 |
応募締め切り | 8月末 |
発表 | 3月頃HPにて |
各部門と賞の種類、賞金は以下の通り。
【王道部門】
・対象作……ジャンル無制限の王道作品
・賞金……大賞300万円、金賞50万円、銀賞30万円、奨励賞10万円、審査員特別賞10万円
・書籍化……銀賞以上は書籍化確定
【ジャンル部門】
・対象作……編集部が指定したジャンルの作品
・賞金……入選30万円、佳作10万円、銀賞30万円、審査員特別賞5万円
・書籍化……入選受賞作は原則書籍化
【IP(アイデアプロローグ)小説部門】
・対象作……原稿20枚以内の作品(完結・未完結は問わない)
・賞金……入選10万円
・書籍化……未確定、入選受賞者には担当編集が付く
第12回(2022年)より、上記のように3部門に分かれ、大きく様変わりした。
とはいえ、これまでの流れを大きく組むのが【王道部門】で、そこに【ジャンル部門】と【IP小説部門】が加わったという認識でよいと思う。
ラノベ作家としての道を切り開くなら間違いなく【王道部門】チャレンジで、指定ジャンルに合致するなら【ジャンル部門】に出してみるのも良い。
また、個人的には【IP小説部門】が興味深い。
おそらくこの部門は「ダイヤの原石」を見つけ、それを育て上げることを目的としているので、未完の「プロトタイプ」や「草稿」なんかを【IP小説部門】に出してみるのも面白い。
案外そこから、作家デビューの道が切り開かれるかもしれないし。
小学館ライトノベル大賞
出版社 | 小学館 |
賞金 | 300万(+記念品) |
枚数 | 42×34で80~130枚 |
応募総数 | 1300編程度 |
倍率 | |
応募締め切り | 9月末 |
発表 | 3月発刊『ガ報』 ガガガ文庫公式HPにて |
賞の種類と賞金は以下の通り。
- 大賞200万円+出版化
- ガガガ賞100万円+出版化
- 優秀賞50万円+出版化
- 審査員特別賞50万円+出版化
ラノベレーベルの中でも絶大な人気をほこる「ガガガ文庫」が主催する新人賞で、応募総数1000編をコンスタントに超えてくるマンモス級の新人賞。
賞は上記の4つで、いずれも作家デビューが確約されている。
とはいえ、選考はなかなかシビアであり「大賞なし」という年も珍しくない。
なお、ラノベ界の中では「ガガガ文庫」は独自性の強いレーベルといった認識がされている。よって、本章で求められる作品というのも、いわゆる「王道」とか「お手本」のような作品では不十分で、1つでもいいからキラリと光る個性が必要だろう。
効果的に「対策」をするには
ライトノベルの新人賞への応募を検討している方は、その対策としてとにかく良質な「ラノベ作品」を数多く読む必要がある。
こうした作品を分析することの大切さは、多くの選考委員や編集者が口をそろえて言っていることだ。
多くのライトノベルを読む意義は大きく次の2つ。
- 近年の人気作の傾向を把握できること。
- 過去の作品との類似を避けられること。
この2つは一見矛盾するようだけれど、どちらも大切なことだ。
需要のない作風や、あまりに読者を無視した作品は「門前払い」となってしまうし、過去の作品との類似は、その時点で「新人賞としてふさわしくない」とみなされてしまうからだ。
そこで、とにかく多くのラノベ作品を格安かつ効率的に読むためのオススメサービスを2つ紹介しようと思う。
どちらも読書家や作家志望者にとって人気のサービスなので、ぜひ利用を検討していただければと思う。
”Audible”で時間を有効活用
\ 執筆関連の本も今なら無料!/
Audible(オーディブル)なら、すき間時間を利用して作品を“聴く”ことができる。
『転生したらスライムだった件』や『陰の実力者になりたくて』などの超人気作品をはじめ 多くのライトノベル作品や、執筆関連の書籍 が 月額1500円で聴き放題。
今なら30日間の無料体験が可能なので、軽い気持ちで試してみることもできる。(退会も簡単なのでそこも安心)
興味のある方は以下のHPよりチェックしてみてほしい。
”Kindle Unlimited”で幅広く読む
\ 執筆関連の本も今なら無料!/
電子書籍Kindleには「Kindle Unlimited」という「定額読み放題」のサービスがある。
サービスを利用すれば、人気の純文学や近代文学、世界文学、エンタメ小説、ライトノベル、その他 ビジネス書や新書など 200万冊以上が月額980円で読み放題可能となる。
対象の作品には『狼と香辛料』(電撃小説大賞)、『ひきこまり吸血姫の悶々』(GA文庫大賞)、『処刑少女の生きる道(バージンロード)―そして、彼女は甦る―』(GA文庫大賞)などなど、各種ラノベ新人賞受賞作をはじめ、数多くの人気ラノベ作品がある。
もちろん、執筆関連の書籍も充実しているので、小説家を目指す人にとって便利なサービスとなっている。
Audible同様、こちらも30日間の無料体験ができるので、Audibleと合わせて試してみることをオススメしたい。
興味のある方は、以下のホームページからどうぞ。
格安で自費出版したい人へ
「自分の作品を形にしたい!」
「自分の作品を多くの人に届けたい!」
そんな思いを持つ人は、Kindle出版 がオススメ。
近年、その需要を急激に伸ばしているKindleだが、そのkindleでの出版なら格安で高品質な電子書籍を出版できる。
もしも自費出版にすこしでも興味があるなら、”手ごろな価格設定” と ”手厚いフォロー”が魅力的な 「パブフル」のサービスをチェックしてみてほしい。
無料で相談ができ、支払いも完全後払いなので、安心して自費出版を検討できる。
・
・
※「おすすめの代行業者」について知りたい方はこちらから
・
※「そもそもkindle出版って何?」という方はこちらから
コメント