解説・考察『777(トリプルセブン)』伊坂幸太郎―人生にジャックポットを―

文学
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はじめに「書籍情報」
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777トリプルセブン』は2023年に出版された伊坂幸太郎による長編小説だ。

【 作品情報 】

タイトル777トリプルセブン
作者伊坂幸太郎
頁数293頁(単行本)
出版社角川書店
特記事項殺し屋シリーズ

この記事では『777』の解説を行っていく。

記事中には、ネタバレを多く含んでいるので、作品未読の方は注意をしてほしい。

それでは、お時間のある方は、ぜひ最後までお付き合いください。

 

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解説「伊坂幸太郎」について

作者「伊坂幸太郎」は、もはや説明不要の“現代エンタメ小説界の重鎮”である。

2000年『オーデュボンの祈り』で第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビューするや、続く2002年に『ラッシュライフ』、2003年に『重力ピエロ』『アヒルと鴨のコインロッカー』でまたたく間に人気作家の仲間入り。

以降、年間に2~3本の中・長編小説を発表し、『フィッシュストーリー』『ゴールデンスランバー』『アイネクライネナハトムジーク』などは、映画化し、多くのファンたちを魅了した。

伊坂幸太郎の魅力については、〈これまたもはや説明不要なのだが〉以下の点が挙げられる。

  • 鮮やかな伏線回収
  • 魅力的な登場人物
  • ユーモラスな会話
  • ハートウォーミングな展開
  • 手に汗握る戦闘シーン

こうした特徴を持つ物語は、多くの場合「カットバック」という手法によって“緊張感”たっぷりに描かれる。

「カットバック」というのは、たとえば、

「Aさんの視点」→「Bさんの視点」→「Cさんの視点」→「Aさんの視点」→「Bさんの視点」→「Cさんの視点」→ ……

といったように、それぞれの物語を交互に配置し、ストーリーが進むにつれそれぞれが次第に交錯していく――といったテクニックのことだ。

もちろん、作品ごとに「作風」や「雰囲気」は全く違ったりするので一概にはいえないのだが、だけど伊坂ファンなら、上記の点において異論はないはず。

今回とりあげる『777』も、「鮮やかな伏線回収」ありの、「魅力的な登場人物」ありの、「ユーモラスな会話」ありの、「ハートウォーミングな展開」ありの、「手に汗握る戦闘シーン」ありの――要するに“伊坂らしい”作品となっている。

解説「殺し屋シリーズ」について

本書『777』は、いわゆる「殺し屋シリーズ」に連なる作品の1つだ。

「殺し屋シリーズ」とは、様々な特殊能力を持つ「殺し屋」たちが織りなす群像劇で、伊坂作品の中でも人気の高いシリーズの1つである。

第一作の『グラスホッパー』は、伊坂自身も、

「今まで書いた小説のなかで一番達成感があった」

と語る完成度の高い作品で、その後も『マリアビートル』『AX』といった具合に、上質なエンタメ小説が続いている。

このシリーズの特徴を上げるなら、次のような感じか。

【 殺し屋シリーズの特徴 】

・カットバックで物語が進行する。

・「業者」と呼ばれる殺し屋たちが登場する。

・手に汗にぎる「戦闘シーン」が描かれる。

・ユーモラスな会話の応酬がある。

・鮮やかな伏線回収がある。

こうしてみてみると、記事の冒頭で書いた「伊坂作品」の特徴をバッチリ抑えたのが、殺し屋シリーズだといってもいいだろう。

本書『777』もその例外ではないのだが、そこに加えて「ハートウォーミングなラストシーン」こそ、僕は本作最大の魅力だと考えている。(詳しくは後述する)

 

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解説「あらすじ」について

【 出版社によるあらすじ 】

やることなすことツキに見放されている殺し屋・七尾。

通称「天道虫」と呼ばれる彼が請け負ったのは、超高級ホテルの一室にプレゼントを届けるという「簡単かつ安全な仕事」のはずだった――。

時を同じくして、そのホテルには驚異的な記憶力を備えた女性・紙野結花が身を潜めていた。彼女を狙って、非合法な裏の仕事を生業にする人間たちが集まってくる……。

以上が、出版者「角川書店」による、作品紹介文だが、ここにもう少し僕なりの「あらすじ」を書き足しておく。

紙野を狙っているのは「乾」という、闇の仕事を生業にする男だ。

「乾につかまってしまえば、自分の命はない」

そう直感した紙野は、有名な「逃がし屋」ココに依頼をして、なんとか乾から逃れようとする。

しかし、乾が雇った「6人の殺し屋」に阻まれてしまい、ココは命を落としてしまう。

「自分に何かあったら、天道虫という男をたよって」そのココの言葉に従って、紙野は天道虫こと「七尾」を頼り、「このホテルから無事に逃がしてほしい」と懇願する。

紙野の懇願をシブシブ受け入れた七尾だったが、「6人の業者」は一筋縄ではいかず、さすがの七尾も苦戦を強いられてしまう。

繰り広げられる戦闘と、次々と増えていく死体の数……善戦した七尾だったが、業者の1人「ヘイアン」の吹き矢に射られ、ついに倒れてしまう。

そして、とうとう紙野は捕らえられ、そのままホテルのある一室へ連れていかれる。

そこには、元政治家で、情報局長官の「蓬実篤」が待っており、彼の口から驚きの真実が語られるのだった。

それでは、以下、作品についての考察をしていく。

考察「ついていない人たち」

あらためて、ここから大々的なネタバレを含むので、未読の方はぜひ注意をしてほしい。

まず、本作『777』には「ついていない人たち」が多く登場する。

その最たる人物は、「天道虫」こと七尾であり、彼は、過去作『マリアビートル』からずっと「ついていない男」として描かれている。

やることなすこと裏目に出てしまう彼は、今回も、簡単な仕事を請け負ったがために、やっかいな大事件に巻き込まれてしまう。

とはいえ、彼の「ついてなさ」は、ある意味ユーモラスに書かれていて、作品に程よい笑いをもたらしてくれる。

ただ、それと異なり、ある種の切実さをもって書かれる「ついていない人間」がいる。

それが「紙野結花」「乾」である。

紙野は生まれながらにして、「一度覚えたことを忘れない」という異能を持っているのだが、その能力によって、辛い過去や周囲の悪意を忘れることができず、いつしか彼女は人との交流を絶つまでになる。

一方の乾はというと、蓬の手によって、人生を狂わされてしまう。

乾の父親は莫大な借金を抱えており、そんな彼の足元を見た蓬は、乾の父親を脅しつけ「無差別殺傷事件」を起こさせた。

乾の父親が亡くなったのは、乾が14歳のころで、以来、乾の人生の歯車は大きく狂ってしまった。

こんな風に、紙野、乾の2人には苦しみと悲しみに満ちた人生を送ってきた」という共通点がある。

 

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考察「梅はバラになれない」

――どうして自分だけ苦しい思いをするのだろう。

――どうして自分の人生だけハズレなのだろう。

――どうして自分だけがついていないのだろう。

そうした思いに対する1つの解答が、これだ。

「他人と比べた時点で、不幸は始まりますね」

これは紙野自身が語った言葉なのだが、同時に、本書『777』に通奏低音のように流れているメッセージだといっても良いだろう。

そのことは、こんな印象的なたとえ話でも語られる。

「梅は梅になればいい。リンゴはリンゴになればいい、バラの花と比べてどうする」

人は人、自分は自分。

自らに与えられた人生を最後まで生き切りさえすれば、それで良い

こうしたメッセージが、本書『777』には底流している。

実際に、読者の中にも、

「自分の人生はハズレくじだ」

そんな思いを持つ人も多いのではないだろうか。

――どうして自分だけついていないのだろう。

誰だって一度や二度くらい、そんな思いを抱いたことはあるだろう。

そういう意味でも、本書『777』は「ついていない人」や「報われてこなかった人」の心に刺さる物語だといっていい。

ちなみに、本書に登場するキャラクター、「マクラ」と「モウフ」もまた「報われてこなかった人間」なのだが、彼女たちは、自分たちの対極にいる連中を「スイスイ人」と呼んでいる。

スイスイ人というのは、見た目が良く、才能があり、人脈も多く、環境に恵まれた「人生イージーモード」の連中のことである。

文学が好きな人っていうのは、だいたいが「スイスイ人」に対する屈折した思いを持っているはずなので、きっとマクラとモウフの言葉に共感した読者も多いはず。(ちなみに僕はメチャクチャ共感した)

 

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考察「777の意味」

本書『777』は、「ついていない人」や「報われてこなかった人」のための物語だといっていい。

そのことは、タイトル『777』の意味を考えることで、確信に変わる。

では、『777』が意味することとは、一体なんなのか。

結論を言えば「人生における一発逆転大当たり」という意味である。

まず、本作において「7」という数字は、次の3つの点において話題にのぼる。

【 本文における7の記述 】

1、天道虫(幸福の虫)が持つ星模様が7つである点

2、スロットのジャックポットが777である点

3、情報アクセスのための質問数が777つある点

このうち注目したいのは、やはり1と2である。

両者は、「7」という数字を「幸福」や「成功」「一発逆転」の象徴として扱っている点で共通しているが、特に2の「ジャックポット」をめぐっては、作中で紙野結花が次のように語っている。

「スロットマシンで、7が三つ出るのをジャックポットと言うんですよね?」

「大当たりのことをね」

「ある人が言ってたんです。子供のころ、お父さんにスロットマシンのおもちゃを買ってもらった話をしてくれて。試しにレバーを引いてみたんですけど、何回やっても、ジャックポットはでなかったみたいで。あまりにも出ないものだから不安になって、お父さんに『こんなについていなくて、大丈夫かな』と訊いてみたそうです。お父さんと自分の人生が不安になってしまって」

ここでいう、「ある人」というのは乾であることが、物語の終盤で明らかにされる。

乾の父が多くの借金を抱えていたことを踏まえれば、この「僕とお父さんの人生、大丈夫なのかな?」と乾の不安も、もっともなことだといえる。

そして、この話を聞いた紙野自身もまた「私の人生、大丈夫なのかな」といった不安を抱いて生きてきた人間だ。

だからこそ、彼女は、乾の「777」の話に共感を示すワケだ。

ちなみに、以下は紙野と七尾のやりとりなのだが、紙野同様、「ついていない人間」代表の七尾もまた、乾の幼少期の話に共感を示している。

他人事とは思えないよ。その子の気持ちが分かる

七尾の反応が想像以上に実感のこもったものだったため、紙野結花は少し驚く。「本当ですか?」

「痛いほどね。で、その話がどうかしたのか」

「思い出しただけです。わたしも今まで、大当たりどころか、7が一個もでないような人生をあるいてきたので

つまり、乾も紙野も(七尾も)「ついていない人生」を送ってきたことが、ジャックポットの文脈で明らかにされているワケだ。

いや、「ついていない人生」という表現は、彼らの人生を語る上ではやや軽薄であって、むしろ「悲しみや困難に満ちた人生」といったほうが、実態をよく表しているといえる。(七尾の場合は「ついていない人生」で良いような気もするけど)

そして、この物語の醍醐味というか、カッコよさというか、最高に胸が熱くなるポイントは、そんな報われてこなかった二人が、物語の終盤で「人生のトリプルセブン」をそろえる点にある。

 

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考察「ラストシーンの意味」

この『777』という作品の主題は、まさに、ラストシーンに集約されているといっても過言ではない。

物語のラストで、乾はみごと蓬への復讐を果たす。

そして、どうやら紙野と結ばれているらしいことが、ほのめかされる。

乾と紙野がどこに行ったのかは、周囲には知られていない。( もちろん、闇の業界にも知られていない )

それは、とりもなおさず、「逃がし屋」で「人生のリセット屋」のココが面倒を見てくれたからだ。

だけど、読者は、彼らが平穏で幸せな生活を送っていることは容易に知ることができる。

それは、ラストシーンで「ゆず胡椒のせチーズケーキ」が登場するからだ。

このあたりの演出は、伊坂に嫉妬するレベルで、ここに来て落涙をしてしまった読者もきっと多いことと思う。

かく言う僕も、ここで泣かされた。

――これまで報われてこなかった紙野が幸せな暮らしを送っている。

このことに、僕はある種のカタルシスを感じたのだ。

確かに彼女が手に入れた暮らしは、多くの人から見れば、ささやかな暮らしかもしれない。

だけど、彼女は言っていたではないか。

「あの、わたし」

「何?」

「もし無事に逃げることができたら」

「うん」

「友達が欲しいです」

これは、作品の中盤で、紙野の口から漏れ出た言葉だ。

「無事に逃げることができたら、友達が欲しい」

紙野自身、どうして自分の口からこんな言葉がでたのか分からず驚いているが、まちがいなくこの言葉は彼女の本心から出た言葉なのだろう。

なぜなら、紙野はこれまで、人との交わりを避け、ずっと孤独に生きてきたからだ。

そうした人生を生きてきたからこそ、彼女は「友達が欲しい」というささやかな願いを口にしたワケなのだが、物語のフィナーレにおいて紙野は、理解し合えるパートナーと巡り会うことができた

そして、それは、あえて言えば「友達以上」の存在だ。

これを「人生のジャックポット」といわずしてなんであろう。

まさに、この『777』の最大の魅力は、この「報われてこなかった人間に訪れる一発逆転の奇跡」を読者に提示してくれる点にあるのだと思う。

伊坂幸太郎は、これまで多くの作品を通して、こんなメッセージを読者に送ってきた。

――あってもいいじゃないか、そういうこと。

僕が伊坂幸太路の作品に惹かれる理由の1つとして、「現実で起こりえない奇跡」が温かい余韻とともに書かれることが挙げられる。

しかも、その奇跡は、大抵の場合「真面目に精一杯生きてきたのに、なぜか報われない人物」に訪れることが多い。

本書『777』のラストシーンが、まさにそれである。

「精一杯頑張って生きてきたんだ。現実にはありえないことだけれど、こんな奇跡が起きたっていいじゃないか」

そうしたことが書けるのも、小説の最大の力だといっていい。

伊坂作品の魅力は、「小説」という表現の様式を最大に生かし、現実世界でモヤモヤを抱える人たちを優しく、そして、愉快に励ましてくれる点にあると僕は思っている。

 

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おわりに「恩を忘れない」

ここまで、伊坂幸太郎の『777』についての解説と考察を行ってきた。

改めて言うが、この作品の最大の魅力は、間違いなくハートウォーミングなラストシーンにあると僕は思っている。

それは、「報われない人生を生きてきた人間」に「一発逆転の大当たり」が起こるシーンともいえ、そのことが、本書『777』のタイトルにも表れている。

たしか作家の吉行淳之介が、「小説の終わり方」について、こんなことを言っていた。

「ギュッと締めて、フワっと開く。これが理想的な小説のラストだ」

これを僕は、

「きれいに物語を収束させたうえで、絶妙な余韻を残して終わるのが良いラストだ」

と解釈をしている。

本書『777』はまさに、それを実現した小説だといえる。

ラストのページに、ココと七尾の、こんな会話のやりとりがある。

「紙野ちゃんは、絶対に忘れないだろうね」ココが七尾の方は見ず、独り言のように漏らしたのは、少し経ってからだ。

「え、何を?」

「恩を」

「ああ」

これは、物語に出てきた、

「恩を忘れない人間は幸せになれる」

といった趣旨の奏田の言葉を踏まえている。

これまで、忘れたくても忘れられなかったがゆえに不幸になってきた女性が、忘れたくても忘れられないからこそ幸せになれる。

そうした「美しい逆転劇」を、たった数行の会話文でやってのけてしまう伊坂の筆致の巧みさを全面に強調して、この記事をしめくくりたいと思う。

いつも、胸が熱くなるような、おもしろい作品を届けてくれてありがとう、伊坂。

これからも、楽しい小説を待っているよ。

伊坂作品のオススメ

以上、『777』の紹介を終えたい。

最後に、本書のテーマと共通する伊坂作品を紹介して、この記事を締めくくりたい。

「鮮やかな伏線回収」系

『ゴールデンスランバー』

首相暗殺の濡れ衣を着せられた男の、2日間にわたる逃亡劇を描いた作品。

これはもはや、すべての伊坂エッセンスが詰まった最高傑作だといえる。

その中でも、伏線回収は神がかっていて、後半にかけてページを繰る手が止まらない。

笑いあり、涙ありで、読み終えた後の余韻は、伊坂作品の中ではNO1だといえる。

2008年本屋大賞受賞。

第21回山本周五郎賞受賞。

『このミステリーがすごい!』2009年版1位。

この作品を読まずして、伊坂を語ることはできない。

「魅力的な登場人物」系

『砂漠』

大学で出会った5人の男女がボウリング、合コン、麻雀、通り魔犯との遭遇、捨てられた犬の救出、超能力対決などを通じて互いの絆を深め、それぞれを成長させてゆく青春物語。

この作品の魅力のうち7割くらいは「西嶋」というキャラクターが占めているといったら、伊坂ファンは怒るだろうか。

とにかく、それくらい「西嶋」は魅力的な男で、彼独特の人生観、恋愛観、世界観はもはや「西嶋哲学」と呼んでも良いくらいの求心力がある。

もはや作者の「意図」を超えて、西嶋が勝手に動き始めているような印象さえ持つが、それはきっと小説家冥利に尽きるのではないだろうか。

続編がないのが、信じられない。

『砂漠』の続編を心待ちにしている伊坂ファンは、絶対に多い。

【 参考記事 解説・考察『砂漠』(伊坂幸太郎)―傑作!人生を歩むための“パンクロック小説”―

「ユーモラスな会話」系

『チルドレン』

「俺たちは奇跡を起こすんだ」

そうした独自の正義感を持ち、いつも周囲を自分のペースに引き込むがなぜか憎めない男、陣内。

正直、『チルドレン』は先述の「魅力的な登場人物」系で紹介したかったくらい。

それくらい陣内という男は魅力的で、彼を中心とした会話の応酬が最高にクールでキマっている

陣内を中心にして起こる不思議な事件の数々――。

何気ない日常に起こった5つの物語が、一つになったとき、予想もしない奇跡が降り注ぐ。

「手に汗握る戦闘シーン」系

『グラスホッパー』

これについて異論はないだろう。

作品の完成度について言えば、伊坂自身が

「今まで書いた小説のなかで一番達成感があった」

と語るほど。

本書は元祖「殺し屋」たちの物語。

彼らが巻き起こす戦闘は、「超人対超人」、「最強決定戦」、「天下一武道会」の趣で、とにかく本書はワクワクでドキドキ手に汗握る第1級のエンタメ小説だ。

殺し屋たちのネーミングも、「蝉」とか「鯨」とか、伊坂のセンスが光っている。

続編の『マリアビートル』もオススメなのだが、まずは『グラスホッパー』から。

「ハートウォーミングな展開」系

『終末のフール』

舞台は「8年後に地球が滅亡する」と発表されてから5年目の世界。

――死なねばならないのに、人はなぜ生きるか、いかに生きうるか――

そんな人間の根源的なテーマを大げさでもなく、観念的でもなく、いかにも生活実感に即して読者に問いかけてくる。

日常の尊さ、一瞬の大切さ、生活のかけがえのなさ……

本書は、僕たちが普段見失っているものを鮮やかに取り出して、僕たちの前に提示してくる

――限られた人生を、どのように生きていくべきか――

本書に貫かれたその問いは、しかし、死の「3年前」だろうが「50年前」だろうが、本質的にはなんら変わらないことに気付かされる。

「明日死ぬとしたら、生き方が変わるんですか?」

「あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」

作中のこの言葉に、作品の全てが詰まっているといっていいだろう。

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近年、文学作品の【Audible】化がどんどん進んでおり、伊坂幸太郎の作品の多くがAudible化し、話題となっている。

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