はじめに「小説を書きたいあなたへ」
この記事にたどり着いたということは、きっとあなたも小説を書く人間の一人だと思う。
ひょっとして、
「これから小説を書いてみたい」
そう思っているかもしれない。
このブログでは、文学賞への応募をゴールに据えた「小説の執筆プロセス」について詳しく解説をしている。
今回、解説したいのは「小説執筆時に意識すべきこと」について。
さっそく結論を述べると、次のとおり。
以上が、小説を書く上で意識しておきたいことだ。
この記事は、特に「これから小説を書いてみたい人」や「小説を書き始めて間もない人」にとって参考になる内容も多いと思うので、ぜひ、最後まで読んでいただけると嬉しい。
ちなみに僕自身、かれこれ10年以上の執筆歴がある。
その中で、地方文学賞を受賞したこともあるし、大手新人賞で予選通過をしたこともあるし、大手出版社から出版をしたこともあるし、自費出版をしたこともある。
とりあえず、人並み以上に「書くこと」について考えてきた自負はある。
また、執筆する上で数々の指南書、ありていにいえば「ハウツー本」で勉強をしてきた。
この記事では、そうした僕自身の経験と、書籍に記された「プロの意見」を参考にしている。
それでは、最後までお付き合いください。
小説執筆のおおまかなプロセス
まず、本題「小説執筆時に意識すべきこと」に入る前に、小説執筆の「全貌」について確認をしておきたい。
小説の執筆は、ざっくりと次の3ステップに大別できる。
この中でも、1の「プロット作成」が、(特にエンタメ系の)小説を執筆する上で最も重要なステップだといっていい。
プロの作家の中にもプロットを重要視する人は多く、中には「原稿用紙120枚のプロットを作成した」なんて人もいるくらい。
とにかく、「プロット作成」というのは小説執筆の「生命線」ともいえるもので、決して蔑ろにできない作業なのだ。
さて、この記事では、そのプロット作成をすでに終えて、
「さぁ、いよいよ執筆に取りかかるぞ!」
という段階に来た人に向けて書いている。
なので、
「プロットはまだできてません」とか、
「そもそもプロットってなに?」とか
「プロットってどう作れば良いの?」とか、
そうした方は、ぜひ以下の記事も参考にしてから、この記事を読んでいただければと思う。
では、さっそく「小説執筆時に意識すべきこと」について解説をしていこう。
執筆時に意識すべきこと
目的を見失わないこと
執筆に取りかかる前に、そもそも考えておきたいことがある。
それは、
「自分は何のために小説を書くのか」
である。
小説を書く理由は人によって様々だろう。
「作家デビューしたいから書く」
「特定の文学賞を取りたいから書く」
「誰かに読んでもらいたいから書く」
「やむにやまれず書く」
「楽しいから書く」などなど・・・・・・
中には、
「これら全部が小説を書く理由です」
なんて人もいるかもしれない。
なぜ僕がこんなことを書くのかというと、「小説を書く目的」によって「文章に対して自分が取るべきスタンス」が異なってくるからだ。
「作家デビューしたい」とか「文学賞を取りたい」とか、こう思う人は、文章を書く際に「読者の立場」を無視することはできないし、目指している新人賞や文学賞の傾向をつかみ、適切に対策をしていくことも大切になってくる。
また、「誰かに読んでもらいたい」と思う人も、それなりに読者への配慮は必要だろうから、「小説のノウハウ」を知ることには一定のメリットがあると思う。
一方で、「やむにやまれず書く」とか「楽しいから書く」という人は、もはや書くこと自体が目的となっているので、いっそ「執筆のノウハウ」なんて気にせずに、自分の好きなように、思うままに書けば良い。(なので、悲しいけれど僕の記事なんて読む必要はほとんどない)
こんなふうに、「自分はなんのために小説を書くのか」を改めて考えてみると、執筆における「心構え」が自ずと定まってくるし、具体的な方向性を見失うこともなくなる。
ということで、ある意味、執筆時において第一に意識すべきことは、「自分が小説を書く理由」であると僕は思う。
悩みすぎないこと
「さぁ、小説を書くぞ!」
そう思い立ったときが、とにかく「書き時」であるという意識も大切だ。
というのも、初めて小説を書く人にありがちなのが、「悩みすぎて結局なにも書かない」という悲しき結末だからだ。
もちろん、小説を執筆するうえで向き合うべきプロセスはいくつかある。
- テーマの選定
- プロット作成
- キャラクター構想
などがそれである。
こうした「執筆計画」は決して無視してはいけないものだが、それに“がんじがらめ”になって、結局なにも書けないのでは本末転倒である。
小説執筆というのは、いうまでもなく「最初の1文字」から始まる。
「小説を書こう」
そう思ったら、迷わずPCを開いて、カタカタと書き始めてみればいいのだ。
その中で、色んな着想があったり、詰めるべき設定が分かったり、自分が書きたいものが見えてきたりするものだ。
このことは、執筆の途中でも変わらない。
「もっと良い表現があるんじゃないか?」
「ここは説明しすぎじゃないだろうか?」
「もっと詳しく説明すべきだろうか?」
書いては消し、消しては書き・・・・・・
そんな風にあれこれ思い悩むことは、それだけ文章に対して誠実に向き合っていることの証拠なのだが、そうはいっても小説というのは「完成」させてナンボの世界である。
せっかく書き始めた作品が「未完のままお蔵入り」になってしまっては作品も作者も浮かばれない。
たとえ、どんなに荒削りであっても、まずは作品を完成させることが、僕はもっとも大切なことだと思う。
というのも、書き終えた後、いくらでも「推敲」をすればいいのだし、いったん距離をとってみて、再び書き直すことだってできるのだ。
それになんといっても、作品を描き上げたときの、あの喜びや達成感というのは何物にも替えがたいし、次の創作の大きな原動力にもなる。
「とにかく書き切る!」
やや精神論っぽく聞こえるに違いないが、このことこそ執筆時に最も意識すべき大切なことだといっても過言ではない。
会話・描写・説明を使い分けること
さて、ここからは、やや具体的なアドバイスになっていく。
まず、小説の記述は、大きく次の3つに分けることができる。
“会話”というのは、基本的に「 」で記される文章のことで、描写や説明というのは「 」外で記される文章のことで、「地の文」とも呼ばれる。
描写は、さらに次の2つに分けることができる。
“背景描写”とは、要するに「シチュエーション」の描写のことで、「風景描写」なんかもここに含まれる。
それ以外にも、「時間帯はいつなのか」や「どんな場所にいるのか」や「そこには誰がいるのか」などを書くことになる。
“人物描写”については、「容貌」「性格」「クセ」「経歴」「職業」などなど、特定の人物にまつわる情報を書くことになるが、中でもとりわけ重要なのが「心理描写」だといっていい。
「かなしい」とか
「うれしい」とか
シンプルかつストレートに書く場合もあれば、
「月の光がにじんで見えた」とか
「いつもの空が透き通って見えた」とか
風景を描くことで、登場人物の心理を表現することもできる。
こんなふうに「心理描写」は、その手法も実に様々で、書き手の感性や個性が色濃く表れる部分でもある。
“説明“というのは、「端的に事実を言及すること」と言い換えてもいい。
「10年後、太郎は花子と結ばれ、かわいい男の子が生まれた」
こういう記述が説明と呼ばれるものだ。
この一文だけで、読者は「10年の経過」と「太郎と花子の結婚」と「男の子の誕生」という事実を瞬時に知ることができる。
こう書くとすぐに分かると思うのだが、「説明」というのは、小説に流れる時間をいっきに早めることになる。
だけど、小説で大事なのは、「10年間にあった具体的な出来事」であったり、「結婚までの紆余曲折」であったり、「出産にまつわる万感の思い」であったりするわけだ。
むしろ、そうした「具体」を書くことこそ、「小説を執筆すること」だと言ってもいい。
つまり、小説において「説明」というのは、極力避けた方がよい記述だといえる。
そう考えると、小説の主な記述というのは「会話文」と「描写」の2つになる。
会話と描写の割合を考えること
執筆する際は「会話」と「描写」、両者の割合について意識することが重要となる。
では、具体的にどれくらいの割合がベストなのだろう。
もちろん、正解はない。
といのは、選ぶ「ジャンル」によって、考え方が異なるのだ。
考え方としてはこうだ。
「作品をライトに仕上げたい、テンポ良く話を進めたい」
そう考えるのなら、会話文を多くするとよい。
「作品を重めにしたい、じっくりと物語をすすめたい」
そう考えるのなら、描写を多くするとよい。
先ほどの「説明=時間の早送り」だとすれば、
「会話文=リアルタイム」
「描写=スロー再生、ストップ」
と考えることができる。
会話文を多用すれば、小説の時間は「リアルタイム」に近い感覚で進んでいくことになるので、物語のテンポは良くなり、読者へのストレスも軽減され、作品は全体的にライトな雰囲気をまとう。
逆に、描写を多用すれば、小説の時間も止まり(あるいは遅くなり)、事実の描写はより緻密となるので、活字が苦手な読者にとってはストレスが強まるという意味で、作品は全体的に重い雰囲気をまとう。
以上を踏まえて、僕の考えをまとめると、およそ次のようになる。
もちろん、これはあくまでも1つの目安だ。
実際に、会話文が少ないライトノベルもあるし、会話文が多い純文学だってある。
大事なのは、
「自分がどんな世界観の物語を書きたいか」
である。
そのことをよくよく考えて、「会話文」と「描写」の割合を適切に定めたい。
適切に改行すること
多くの小説を読む人であれば分かると思うのだが、「改行」の頻度もタイミングも、作家によって様々である。
改行が多い作家もいれば、なかなか改行せずびっしりと文章を詰める作家もいる。
そうした事実を踏まえると、
「改行に適切な基準ってあるの?」
という問いが生まれてくるわけだが、残念ながら改行には明確な基準もルールもない。
つまり、自分にとっての自然な「間の切り方」が、執筆時の改行の基準となる。
また、「読者への配慮」という視点も忘れてはいけない。
いうまでもなく、改行のないビッシリな文章というのは、読者にとってストレスであり、そもそも「読みやすい」文章とはいえない。
近年、特に若者を中心に「活字離れ」の傾向があり、その反映なのだろう、最近の小説や文学は、一昔前に比べると改行の多い作品がとても目立つ。
テーマが重かったり、重厚な文章だったりが評価される純文学の新人賞でも、改行や会話文が多用された“読みやすい作品”の受賞も珍しくない。
ということで、執筆中に、
「ちょっと文章量多くなったな」とか、
「これじゃ読者は読みにくいかな」とか、
そんな風に感じたら、ためらわず改行をしてよいと思う。
そうはいっても、「自分の感覚はあてになりません」という初心者の方もいると思う。
その場合は、なんといっても、プロの作品を参考に研究することをオススメしたい。
好きな作家、自分が目指す作家の作品を読んで、「改行の頻度やタイミング」をまねしていくうちに、自ずと適切な改行ができるようになるはず。
憶測で書かないこと
自分が書こうとする小説で、「自分が知らない業界」や「歴史的事件」や「社会的問題・現象」などを扱うことは珍しくない。
それらを扱う際にくれぐれも注意したいことがある。
それは、「憶測で書かないこと」や「事実に反することは書かないこと」である。
小説にとって大切な要因に「リアリティ」というものがある。
そのリアリティを担保するためには、描こうとする対象についての入念な情報収集というのが必要不可欠だ。
たとえばプロの作家であれば、「取材旅行」という形で、現地に足を運んだり、関係者にインタビューしたりと、入念に下準備をすることがある。
ただ、僕たちのようなアマチュアの書き手にとって、それはあまりにハードルが高い。
となると、必然的に、書籍やネットからの情報収集をすることになる。
ただ、ネットの記事というのは、玉石混淆で優れた情報もあれば、もちろんそうでない情報もある。
ということで、情報収集は基本的に書籍で行うことをオススメしたい。
僕自身、書きたいと思っている対象についての書籍は、少なくとも2冊は読むようにしている。
扱うテーマによっては、資料収集だけでも、それなりの量になることもある。
そこでぜひ活用したいのが、「Kindleアンリミテッド」などの読み放題サービスや、【 Audible(オーディブル) 】などの聴き放題サービスだ。
これらのサービスを利用すれば、格安で情報収集できるし、すきま時間を使って効果的に読書もできる。
ユーザー数の多いサービスなので、すでに利用している人も多いと思うが、まだ利用したことのない人は、ぜひ利用を検討してみてほしい。
最初の1ヶ月の“無料お試し期間”もあるので、気軽に試してみることができる。
無駄をそぎ落とすこと
執筆中に意識すべきこととして、最後に「とにかく無駄をそぎ落とすこと」を挙げておきたい。
個人的には、これがもっとも実践が難しく、また、多くの作家が腐心していることなのではないかと考えている。
たぶん、すでに小説を書いている人ならわかると思うのだが、執筆中にこんなことを考えることはよくある。
「ちょっと説明しすぎかな」
「ちょっと削ったほうが良いかな」
要するにこれは、
「もっとスマートな描写や説明にしたほうが良いかな」
という問いである。
そして、この「残すか、削るか」は、小説ジャンル問わず、多くの作家が常に頭を悩ませる“宿命的な問い”なのである。
たとえば、あの太宰治は、
「削った方が良いかなと悩んだら、思い切って削る」
といっているし、あの川端康成は、
「会話文の9割は削る」
とまでいっている。
この事情は、程度の差こそあれ、エンタメ小説でも変わらない
では、具体的に、スマートな描写はどのように実現できるのだろう。
それは大きく、次の3つ。
たとえば、次のような説明的な語りがあったとする。
「Aは普段から人の眼を気にしない性格で、時間にもとてもルーズだった」
これは、上記の1、2,3の方法でスマートに表現することができる。
たとえば、外見であれば「寝ぐせ」とか「ワイシャツのシワ」とかで表現することが可能だろうし、行為であれば「寝坊」とか「遅刻」とかで表現することもできるだろうし、セリフであれば「まともな人とかみ合わないやりとり」とかで表現することもできるだろう。
これも小説ジャンルによりけりなのだが、基本的には、だらだら延々と説明が続く小説というのは「つまらない」小説であり、テンポ良く必要な情報を読者に与えてくれる小説は「おもしろい」小説だといっていい。
だから、「ちょっと説明がくどいかな」とか「説明が長いかな」と感じたら、まずはそれを「人物の外見・行為・セリフで表現できないか」ということを考えてみよう。
その際、描写が不自然にならないように気をつけたい。
特に、セリフという体裁を借りて全く同じような説明をしたのでは意味がない。
先の例であれば、Aという人物に、
「俺は普段から人の眼を気にしない性格で、時間にもとてもルーズなんだ」
などと語らせてしまうようなことだ。
「魅力的なセリフ」というのも「魅力的な登場人物」にとって必要不可欠なものなので、この点にも十分注意をしたい。
まとめ
以上、「執筆時に注意すべきこと」について解説を行ってきた。
あらためて、結論をまとめると次の通りになる。
初めて小説を書く人にとって「小説を完成させること」は、とても難しいことに思われるかもしれない。
まずは、ぼんやりとしたもので構わないので、自分の描こうとする物語を思いつくままに書きつけて行けばOKだ。
あまり難しく考えることなく、まずは、PCの前でキーボードを叩くところから始めることが大切だと思う。
執筆は「自分が楽しんでなんぼ」であり、「自分が気持ちよくてなんぼ」の世界である。
結局のところ、書きたいから書くのであって、その原点を忘れなければ、きっと1つの作品を描き上げられるはずだ。
ぜひ、楽しんで執筆を続けていきましょう。
この記事が、あなたの執筆ライフの一助になれば幸いです。
それでは、最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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