オール読物歴史時代小説新人賞の傾向・特徴を解説—作家志望の人は対策を!—

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はじめに「エンタメ小説の新人賞」

エンタメ小説とは純文学に対置されて語られることが多く、別名「大衆文学」と呼ばれたりもする。

「エンタメ小説」と「純文学」両者の違いついては、こちらの記事【純文学とエンタメ小説の違い】を分かりやすく解説を参考にしてほしいのだが、「エンタメ小説って何?」という問いにシンプルに答えるならば、

「読者を飽きさせない面白い物語」

ということになるだろう。

そんなエンタメ小説を対象にした、公募の新人賞は数多くある。

これについても、詳しくはこちらの記事【公募エンタメ小説新人賞】の傾向・特徴を徹底解説を参考にしてほしいのだが、その中でも「大手出版社」による代表的新人賞が次の5つである。

【 大手出版社によるエンタメ小説新人賞 】

・小説すばる新人賞賞(集英社)

・松本清張賞(文藝春秋)

・小説現代長編新人賞(講談社)

・小説野性時代新人賞(KADOKAWA)

・オール読物歴史時代小説新人賞(文藝春秋)

それぞれの賞には、それぞれの賞の“色”というものがあるので、たとえば「エンタメ小説を書いて、小説を応募してみたい!」という思いがある人は、各賞の傾向や特徴を把握しておく必要がある

ということで、今回は「オール読物歴史時代新人賞」(文藝春秋)について解説をしてみたい。

記事では主に「賞の概要」「賞の特徴と傾向」についてまとめていく。

また、最後に作品を書く上での「効果的な対策方法」と、その「おすすめサービス」について紹介するので、ぜひ参考にしていただければと思う。

参考までに、恥ずかしながら僕の「執筆経歴」については(ぱっとしないけど)以下に挙げておく。

【 出版経験 】

・地方文学賞受賞
地方限定出版

・地方新聞文学賞受賞
→ 地方新聞に作品が掲載
kindleで自費出版

・某小説投稿サイトで優秀賞受賞
某アンソロジー企画に参加
大手出版社より出版

【 新人賞における戦績 】

・オール読物新人賞 → 二次選考進出

・すばる文学賞 → 二次選考進出

・小説野性時代新人賞 → 二次選考進出

・小説すばる新人賞 → 二次選考進出

では、どうぞ、最後までお付き合いください。

概要をチェック

詳しい解説に入る前に、まずは賞の概要をチェックしておく。

オール読物歴史時代新人賞のHPはこちら。

出版社文藝春秋
賞金50万(+記念品)
枚数30枚~100枚
(400字詰原稿用紙)
応募締め切り6月下旬
発表11月
応募総数900~1100編程度
主な受賞者藤沢周平(1971年)、
桜木紫乃(2002年)、
柚木麻子(2008年)など
その他書籍化は不確実
\ 格安で自費出版したい方は必見‼ /

特徴①「歴史・伝統」のある新人賞

公募のエンタメ系新人賞の中で、本賞の「歴史と伝統の深さ」はダントツ№1だ。

そのルーツは1952年に始まった「オール新人杯」までさかのぼる。

これは、戦後にスタートしたあらゆる「公募型」の小説新人賞の中で一番の古さだ。

同賞は、1960年に「オール讀物新人賞」と名称が変更され、2008年には「オール讀物推理小説新人賞」と一本化される。

そして、2020年には「歴史時代小説」に特化した新人賞「オール讀物歴史時代小説新人賞」へとニューアルし、現在に至る。

その長い歴史の中で輩出してきた作家も、数えだせばキリがない。

【昭和に活躍した作家たち】
なお☆は直木賞作家

☆南條範夫(歴史時代小説)

☆藤沢周平(歴史時代小説)

☆佐々木譲(冒険小説・時代小説・警察小説)

☆逢坂剛(推理小説、冒険小説、時代小説)

【平成に活躍した作家たち】
なお☆は直木賞作家

☆宮部みゆき(推理小説、時代小説、ファンタジー)

 宇江佐真理(歴史時代小説)

☆乙川優三郎(歴史時代小説)

☆山本一力(歴史時代小説)

☆石田衣良(中間小説)

☆桜木紫乃(中間小説)

 志川節子(歴史時代小説)

☆門井慶喜(推理小説)

 奥山景布子(歴史時代小説)

 坂井希久子(官能小説)

 柚木麻子(中間小説)

 佐藤巖太郎(歴史時代小説)

 木下昌輝(歴史時代小説)

ざっと見渡しただけでも直木賞作家の名が目立ち、改めて「豪華な顔ぶれだな」と感じる。

「オール讀物歴史小説新人賞」は、新人賞の中でもトップクラスの「歴史と伝統」を誇る新人賞なのだ。

 

特徴②「歴史時代小説」に特化

前述の通り「オール讀物新人賞」は2021年より、応募作品を「歴史時代小説」に限定した「オール讀物歴史時代小説新人賞」にリニューアルされた。

ここであらためて、前身の「オール讀物新人賞」出身の作家を並べてよう。

すると、この頃からすでに「歴史時代小説」畑の作家が多いことに気が付く。

  • 南條範夫(歴史時代小説)
  • 藤沢周平(歴史時代小説)
  • 佐々木譲(冒険小説・時代小説・警察小説)
  • 逢坂剛(推理小説、冒険小説、時代小説)
  • 宇江佐真理(歴史時代小説)
  • 乙川優三郎(歴史時代小説)
  • 山本一力(歴史時代小説)
  • 石田衣良(中間小説)
  • 桜木紫乃(中間小説)
  • 志川節子(歴史時代小説)
  • 奥山景布子(歴史時代小説)
  • 坂井希久子(官能小説)
  • 柚木麻子(中間小説)
  • 佐藤巖太郎(歴史時代小説)
  • 木下昌輝(歴史時代小説)

これは決して偶然ではなく、そもそも『オール讀物』という小説誌は「歴史時代小説に力を入れた」小説誌なのだ。

いまでも『オール讀物』に掲載されている小説を見てみると、「歴史小説」や「時代小説」がもっとも多く、次に「ミステリー小説」が続くといった感じだ。

それに、歴代の受賞作を振り返ってみても、やはり「歴史時代小説」が多い

それがもっとも顕著なのは、「オール讀物歴史時代小説新人賞」にリニューアルされる直前で、この頃は、ほぼ毎年のように「歴史時代小説」が受賞していた。

  • 2017年「新芽」(歴史時代小説)
  • 2018「母喰鳥」(歴史時代小説)
  • 2019「首侍」(歴史時代小説)
  • 2020「をりをり よみ耽り」(歴史時代小説)

以上のような経緯があるので、2021年の「歴史時代小説」へのリニューアルは、むしろ自然な流れだといっていい。

もしも、本賞の傾向と特徴をつかもうと思うなら、過去の受賞作のうち「歴史時代小説」を読み込む必要があるだろう。

特徴③「作家生存率」は低い

さきほど僕は「本賞出身の作家は多い」と書いた。

もちろんそれは嘘ではないのだけれど、きちんとここで強調しておきたいことがある。

それは「残念ながら、近年は目立った作家が現れていない」ということだ。

本賞出身で活躍している作家の中で一番新しいのは木下昌輝(2012年受賞)で、次に新しいのは柚木麻子(2008年)といった感じ。

そして、2012年以降は、受賞作家の露出はびっくりするくらい少ない

なんとか露出のある作家を挙げるなら、

  • 佐々木愛(2016年受賞)
  • 三本雅彦(2017年受賞)

の2人だろうか。

前者は、『ひどい句点』という中間小説で受賞後、2019年に短編集を刊行したものの、それ以降、目立った露出はない。

後者は『新芽』という時代小説で受賞後、『オール讀物』で数編の短編を掲載しているものの、書籍の刊行にはこぎつけられていない。

こうしてみると「大物作家を数多く輩出した」のは過去のことで、残念ながら近年の様子を見ると「本賞を受賞しても、作家としての活躍の場が保障されるわけではない」と言わざるを得ないようだ。

特徴④「規定枚数」の少なさ

「本賞を受賞しても、作家としての活躍の場が保障されるわけではない」

その理由として、「規定枚数の少なさ」があると僕は考えている。

「50枚から100枚」(現在は30枚から100枚)という規定枚数は、エンタメ小説としては非常に少ないため、その作品だけで「書籍刊行」することはできない

となると、もういくつかの短編を書きあげ、それらの作品が「出版にたえうる」と判断されてようやく「書籍刊行」ということになる。

これは「小説すばる新人賞」や「小説現代長編新人賞」などの、他のエンタメ系新人賞などとの最大の違いだといっていいだろう。

なお「規定枚数」の少なさは、応募のハードルを極端に下げているとも思われる。

実際に、リユーアル以前(2020年まで)の応募総数は2000~2500くらいで、公募新人賞の中ではダントツの多さだった。

とはいえ、その中から人気作家が登場することはまれで、その点は「文藝春秋」も頭を悩ませていた点だと思うのだ。

2021年のリニューアルは、そうした折のことだった。

このリニューアルは、

「いっそのこと、歴史時代小説に特化した新人賞にして、その中から人気作家を発掘したい」

という文藝春秋の思いの表れなのだろう。

リニューアル後の応募総数は半分に減り、現在では900編程度に落ち着いている。

だけど、それは「歴史時代小説」にしぼられた、少数精鋭の900編だともいえる。

 

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まとめ「本賞に応募すべき人」

以上を踏まえて「オール讀物歴史時代小説新人賞に応募すべき人」をまとめると以下の通りだ。

【応募すべき人】

1、歴史時代小説で勝負したい人

2、短編小説が得意な人

3、作家になるために根気よく作品を書き続けられる人

繰り返しになるが、この賞を受賞しても作家としての道が開けるとは限らない。

むしろ、現状としては、作家として活躍するためには、受賞後も引き続き優れた作品を作り続けなければならない

ひょっとしたら、別の新人賞でデビューする必要さえあるかもしれない。

とはいえ、本賞はまちがいなく「歴史と伝統」のある新人賞だ。

そこに名前を連ねることができるのなら、それこそ作家冥利につきるというものだ。

それに、応募数900編の頂点になるのは並大抵のことではない

決して侮ることのできない新人賞なので、本賞を狙うならば、出来る限りの対策をして挑戦したい。

効果的に「対策」をするには

歴史・時代小説の新人賞賞への応募を検討している方は、その対策として「過去の受賞作」「受賞作家の作品」を数多く読む必要がある。

こうした作品を分析することの大切さは、多くの選考委員や編集者が口をそろえて言っていることだ。

特に「過去の受賞作品」を読む意義は大きく次の2つ。

  • 賞の傾向や特徴を把握できること。
  • 過去の作品との類似を避けられること。

この2つは一見矛盾するようだけれど、どちらも大切なことだ。

賞の性格にそぐわない作品を投稿することは、いわゆる「カテゴリーエラー」となってしまうし、過去の作品との類似は、その時点で「新人賞としてふさわしくない」とみなされてしまうからだ。

また、多くの資料を渉猟し「歴史的背景」を把握しておくことも必要不可欠だろう。

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