はじめに「執筆には準備が必要」
「プロット作成は、執筆の生命線!」
こんな風に、プロット作成の重要さを主張する作家や指南書は多く、確実に一つの作品を完成させたいのならプロットは必ず作った方が良い。
とはいえ、プロット作成の段階で行き詰まったり、筆が止まったりすることは、結構ザラにある。
そこで、この記事では「プロット作成に行き詰まったら」をテーマに、その対処法について解説をしようと思う。
【 この記事で解説すること 】
プロット作成に行き詰まった時の対処法
ちなみに僕自身、かれこれ10年以上の執筆歴がある。
その中で、地方文学賞を受賞したこともあるし、大手新人賞で予選通過をしたこともあるし、大手出版社から出版をしたこともあるし、自費出版をしたこともある。
とりあえず、人並み以上に「書くこと」について考えてきた自負はある。
また、執筆する上で数々の指南書、ありていにいえば「ハウツー本」で勉強をしてきた。
この記事では、そうした僕自身の経験と、書籍に記された「プロの意見」を参考にしている。
それでは、最後までお付き合いください。
対処法は5つ
さっそく、具体的な対処法を5つ整理しよう。
上記の1~5については、優先順に並べている。
つまり、プロットに行き詰まった時に、まず実践したいのが「1、登場人物に障害や葛藤を与える」ことであり、次に2~4と手を尽くし、最後にどうしようもなくなったら「5、作業からいったん離れる」といったイメージである。
1、登場人物に障害や葛藤を与える
プロットに行き詰まるもっとも良くあるパターン、それは、
「マズイ……この話、ぜんぜん面白くないぞ」
と思ってしまうことだと思う。(これは僕も数えきれないほど経験した)
ここで、“そもそも論”をしたいと思う。
そもそも、(おもにエンタメ系の) 小説における「おもしろい」とは一体何か。
それは、「適度に山場がある」ということだといっていい。
ここでいう「山場」とは、事件、事故、予期せぬトラブル、新たな謎などであり、要するに、
「登場人物を翻弄する障害」や「登場人物の苦悩や葛藤」
と言い換えることができるだろう。
また、障害や葛藤のタイプには次のようなものが想定される。
1、人 VS 人 2、組織 VS 個人 3、問題 VS 困っている人
陳腐な例で恐縮だが、1であれば「恋のライバルの出現」とかでもいいし、2であれば「主人公を脅かす闇の組織の出現」とかでもいいし、3であれば「新たな事件と被害者の登場」とかでもいい。
とにかく、こうした障害や葛藤が生じれば、当然、それを解決すべく人物たちが動き出すことになるのだ。
「主人公の内面をもっと深掘りしよう」とか、
「あの人物をキーパーソンにしよう」とか、
「新たな人物を登場させよう」とか、
「伏線のシーンを書き足そう」とか、
こんな風に行き詰まりが解消されるだけでなく、主人公の生涯や葛藤を次々と繰り出せば、「おもしろい」物語となり、読者を飽きさせることもなくなる。
人気ミステリー作家の貴志祐介は、物語の山場を「エンジン」と呼び、物語を牽引していくために必要なものと位置付けている。
エンタテインメントには“推進力”を持つエンジンが必要である。それは本格ミステリーであれば「なぜだろう?」と思わせる仕掛けであり、ホラーであれば「どうなってしまうのか?」と思わせる演出だ。それが読者にページをめくらせる原動力となる。
(貴志祐介『エンタテインメントの作り方』より)
こんな風に、プロットに行き詰まったら、ぜひ物語のエンジンである「障害」や「葛藤」を与えてみることがもっとも効果的だ。
ちなみに、ハリウッド映画の世界では「5分に1度の山場を作る」というセオリーがあると言われている。
次々に「山場」を作りだせば、その分、観客を飽きさせることなく、作品に没頭させることができるからだ。
ただ、小説の場合(ジャンルにもよるが)、山場がありすぎるジェットコースターのような作品は好ましくはないので、あくまでも自然な形で、適度な頻度を心掛けたい。
2、サイドストーリーを挿入する
次に、行き詰まりを打開するのに有効なのが「サイドストーリー」の挿入である。
ここでいうサイドストーリーとは、次のようなものが想定される。
1、主人公などの過去のストーリー 2、他の人物視点からのストーリー 3、物語を補足するストーリー
まず、1「主人公などの過去のストーリー」が最もイメージしやすいと思う。
主人公のエピソードはもちろん、それ以外にも物語におけるキーパーソンのエピソードを挿入することで、新たな展開がひらけることがある。
それだけでなく、具体的なエピソードは、登場人物の造形を深めるし、物語に立体感や説得力を与えることにもつながる。
なお、「現在の視点と、過去の視点を交互に繰り返す」といった手法は、エンタメ小説によくみられるもので、プロの作家も良く使う手法だといっていい。
次に、2「他の人物視点からのストーリー」もイメージしやすいと思う。
物語の視点を「主人公 → 他の人物」と変え、別の角度から物語を書いてみる。
すると、書き手自身が、物語の意外な側面を発見することがあるので、そこから着想を得ることが珍しくない。(これは僕も何度も経験がある)
また、別視点のエピソードは、物語全体に新鮮さや立体感を与えてくれるというメリットもある
なお、物語の視点を交互に代える手法は「カットバック」と呼ばれ、読者の謎を深めたり、物語に緊張感を与えたりするので、ミステリー小説なんかで良く使われている。
最後に3「物語を補足するストーリー」について触れたい。
これはあまりイメージしにくいと思うが、たとえば、登場人物の「手記」とか「手紙」みたいなものが想定される。
これらを挿入することで、書き落としてしまった「事件のヒント」や「人物設定」などを、自然に補うことができる。
ただし、先ほど紹介した「主人公の過去のストーリー」や「他視点からのストーリー」に比べると、行き詰まりの打開につながりにくいと個人的には感じている。
とはいえ、「独白形式」や「往復書簡形式」の小説は、ジャンル問わず多くの小説においてみられる文体なので、ぜひ採用を前向きに検討したい。
3、着想を得るため他作品に触れる
着想を得るために、同じテーマを扱った映画や小説に触れるのも有効だ。
映画でももちろん良いのだけれど、どうせなら小説を読むことを僕はお勧めする。
理由は執筆を考えると、小説を読むメリットの方が圧倒的に多いからだ。
こんな風に、読書のメリットは多い。
さて、強調したいのは1「執筆のヒントが得られる」についてだ。
まず、プロの作品に触れることで、自分が書きたいテーマが「これまでどんな風に描かれてきたのか」を理解することができる。
「プロは、どのように物語を展開していくか」
そうした視点で物語に触れ、「自分ならどう書くか」を考えていくことで、執筆に役立てることができる。
それだけでなく、プロの「文章・表現・構成」はやはり大いに参考になるので、できれば、プロットに行き詰まっていなくても、執筆と並行して読書を続けたい。
とはいえ、「読書をしたいけど、時間がない!」という人は実際多いと思う。
そんなときは、 Audible(オーディブル) などのオーディオブックを利用すると、すき間時間で効率的にインプットすることができるのでオススメだ。
【 参考記事 】
4、テーマやあらすじを再考する
さて、ここまで
1「障害や葛藤を与える」
2「サイドストーリーを挿入する」
3「他作品から着想を得る」
と、行き詰まり打開のプロセスを紹介してきた。
が、これらを尽くしても、どうしても先に進めないという状況もあるだろう。
そんな時は、やはりいったん元に戻って考えなおすことが現実的になってくる。
つまり、別のアイディアを練り直したり、あらすじを作り直したり、作品の根本部分にメスを入れる必要が出てくるということだ。
できれば、大掛かりな“手術”は避けたいと思うのが書き手の性だと思うのだが、プロット作成が進まないのであれば、背に腹は代えられない。
仮に、強引にプロット書き進めたとしても、きっと満足いく作品にはならないだろうし、当然他者からの評価も得られないだろう。
繰り返しになるが、
「プロット作成は、執筆の生命線」
これは、多くの作家や指南書で強調されていることだ。
作家によっては、プロット作成に最も時間を割くという人もいるし、原稿用紙120枚以上のプロットを作ったという人までいるくらいだ。
プロットがしっかりしていないと、間違いなく執筆の段階で行き詰まるはずなので、ここは勇気をもって作品を再構築したい。
5、作業からいったん離れる
できるかぎりの対策を講じたにもかかわらず、それでもプロットが進まないのであれば、いったん作業をやめて作品から離れるのが賢明だろう。
作品から離れるというのは「作品について考えない」ということだ。
どれくらいの期間、作品から離れるかは人それぞれ。
僕の場合は、行き詰まり作品から離れたら、そのまま「別の作品」の創作に取り掛かることが多い。
もしも別の作品の“ネタ”がなければ、それこそ映画を見たり、小説を読んだりして、新たな着想を得るところから始める。
( テーマの決め方はこちらの記事を参照 )
こうして途中で執筆から離れ、そのままお蔵入りした作品も実際にあるにはある。
逆に、長い時間忘れていた作品を、ひょんなことから書きなおした結果、新人賞の一次選考を通過したという経験もある。
また、行き詰まった作品のテーマを、まったく別の切り口で書き直し、作品を完成させたこともある。
だから、仮にプロットに行き詰まり、いったん執筆から離れたとしても、これまでの過程が全く無駄になるかといえば、全然そんなことはないのだ。
お蔵入り中の作品だって、いつか、その続きを書き出せる日がくるかもしれない。
だから、どうしてもプロットに行き詰まったら、思い切ってその作品から離れ、いったん気持ちを切り替えるることが大切なのだと思う。
それに なにより、書けないのに「書かなくちゃ」と思い続けることは、ストレスや自己嫌悪が半端なく、挙句の果てには、自分が何のために小説を書いているのかを見失ってしまうことになる。
もう一度、
「自分は何のために小説を書くのか」
そのことを考えてみると良いかもしれない。
きっと多くの人が、
「楽しいから書く」とか
「癒されたいかか書く」とか、
「書かずにはいられないから書く」とか、
そうした実存的な動機で小説を書いていると思うのだ。(少なくとも僕はそうだ)
だから、
「これじゃあ小説を書いてんのか、書かされてんのか、分けわからん!」
そんな状態になったら、思い切って書くことをいったんやめてしまおう! ということを僕は強く提案したい。
終わりに
以上「プロット作成に行き詰まった時の対処法」について解説をしてきた。
あらためて結論をまとめると次の通り。
なお、「プロットの作成手順」を詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてほしい。
初めて小説を書く人にとって「プロット作成」は、とても難しいことに思われるかもしれない。
まずは、ぼんやりとしたもので構わないので、自分の描こうとする物語を思いつくままに書きつけて行けばOKだ。
あまり難しく考えることなく、まずは、PCの前でキーボードを叩くところから始めることが大切だと思う。
執筆は「自分が楽しんでなんぼ」であり、「自分が気持ちよくてなんぼ」の世界である。
結局のところ、書きたいから書くのであって、その原点を忘れなければ、きっと1つの作品を描き上げられるはずだ。
ぜひ、楽しんで執筆を続けていきましょう。
この記事が、あなたの執筆ライフの一助になれば幸いです。
それでは、最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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