はじめに「ライトノベル」の立ち位置
小説と一口にいっても、そのジャンルは多岐に渡っていて、ものすごくザックリ言ってしまえば、【純文学/エンタメ小説】この2つに大別される。
今回とりあげる「ライトノベル」(通称“ラノベ”)は、そのエンタメ小説の1つの系譜と考えてもらえばよい。
さて、一般的なエンタメ小説(一般小説)とライトノベルとの間にはどのような違いがあるのだろうか。
もっといえば、ライトノベルとは、一般的にどのように定義されるのだろうか。
その結論を言えば、ライトノベルの定義は明確に定まってはおらず、その解釈は人によってさまざまである。
とはいえ、世に言われるライトノベルには少なからず共通の特徴や性質があるわけで、多少なりとも定義はできると考えられる。
この記事では、そんなライトノベルの特徴や定義について、一般小説との違いに着目しながら解説をしたい。
特に、「これからライトノベルを書いてみたい」とか、「書いた作品をライトノベル新人賞に出してみたい」と考えている作家志望の方はぜひ参考にしていただければと思う。
【 参考記事 まとめ「ライトノベル新人賞の一覧」ー倍率・応募総数から応募先を決めようー 】
それでは、お時間のある方は最後までお付き合いください。
「ライトノベル」の定義
さっそく、ライトノベルを辞書で引くと次の通り。
小説の分類の一つ。SFやホラー、ミステリー、ファンタジー、恋愛などの要素を、軽い文体でわかりやすく書いた若者向けの娯楽小説をいうが、明確な定義はない。
「日本大百科全書(ニッポニカ)」より
なるほど、ライトノベルの特徴はSF、ミステリー、ファンタジー、恋愛など「エンタメにありがちなジャンル」を扱い、「軽くわかりやすい文体」で表現した「若者をターゲット」にしている文芸ということができそうだ。
とはいえ、これだけでは正直いって「一般小説」と「ライトノベル」の違いを明確に説明したことにはならない。
そこで、ここに加えて、以下のような特徴を加えたい。
これらについて、以下で詳しく解説をしていきたい。
特徴➀「若者をターゲットにした作風」
ライトノベルの特徴1つ目は「主に10代から20代の若者をターゲットにした作風」である。
その作風についてまとめると以下の通り。
- 「非現実的な世界観」を描いていること
- 「ライトな文体」を採用していること
- 「魅力的なキャラクター」が登場すること
- 「分かりやすいストーリーライン」があること
上記について簡単に説明しておく。
考えてみれば、上の1~4は、そもそも一般的な「エンタメ小説」の特徴だといえる。
ただし、その“度合い”と言おうか、“程度”といおうか、とにかく一般小説よりもライトノベルのほうが圧倒的に突き抜けているといっていい。
まず、1について。
ライトノベルで扱われるジャンルは主に「SF、ミステリー、ファンタジー、恋愛」とされ、この点においては一般的なエンタメ小説となんら変わらない。
ただ、ライトノベルの大きな特徴としては、魔法や転生、異世界など「非現実的な世界観」が描かれている点があり、これは主に「現実世界」を描く一般的なエンタメ小説との大きな違いでもある。
次に2について。
「ライトな文体」というのも、一般的なエンタメ小説の特徴の1つであるが、ライトノベルはさらにライトに、かつ、読みやすくした印象がある。
具体的には、会話文が多用されたり、思弁的な内容が排除されたり、抽象的な語彙を遠ざけたりといった具合だ。
読者は小難しいことを考えなくても、物語の世界観に入っていけるし、まるでコミックを読むようにサラリと読み進めていくことができる。
一般的なエンタメ小説との違いは、その「圧倒的な読みやすさ」にあるともいえる。
続いて3について。
一般的なエンタメ小説でも、「魅力的なキャラクター」というのは登場するし、作品の重要な要素になっていることは多い。
ただし、こちらについてもライトノベルの方が良くも悪くも主張が強く、キャラクター自身が物語の前面にせり出している感じだ。
しかも、その人物造形は入念に練られていて、読者の想像の余地はほとんどないといっていい。
よって、ライトノベルのキャラクターは「読者に想像してもらう」というよりは、「作者が徹底的に作り上げる」といった印象がある。
最後に4について。
当然「分かりやすいストーリー」ついても、エンタメ小説の基本中の基本なのだが、やはり「ライトノベル」の方が分かりやすい。
それもそのはずで、ライトノベルでは「非現実的な世界観」が扱われやすいため、生活や社会とはほとんど無縁のところで物語が展開していくことになる。
そして、ライトノベルでは、ストーリーを中断させるような「思索」や「哲学」というものがほとんど意識的に排除されている。
一般的なエンタメ小説では、適度な社会性があったり、読者への問題提起があったりするわけだが、ライトノベルにはそうしたものはほとんどない。
以上、ライトノベルの作風について解説した。
- 「非現実的な世界観」を描いていること
- 「ライトな文体」を採用していること
- 「魅力的なキャラクター」が登場すること
- 「分かりやすいストーリーライン」があること
以上、4つの特徴は全て「10代~20代の若者」をターゲットにしているからこそのものだ。
高度な読解力、豊かな想像力、特定の知識、社会への問題意識……
そうした「前提条件」がなくても、安心して、軽い気持ちで楽しめる、それが「ライトノベル」ということなのだろう。
特徴➁「ラノベ系の代表レーベル」
ライトノベルの定義はあいまいとはいえ、上記のように「主となるターゲット」がいたり、「独特の作風」があったりする。
とすれば、当然それに特化した出版レーベルというものも存在する。
ここでは参考までに、大手の代表的な「ラノベレーベル」とその「代表作」についてまとめておく。
電撃文庫 出版社 KADOKAWA 代表作『ソードアート・オンライン』『図書館戦争』『とある魔女の禁止目録』など
角川スニーカー文庫 出版社 KADOKAWA 代表作『涼宮ハルヒ』『機動戦士ガンダム』『このすばらしい世界に祝福を』など
富士見ファンタジア文庫 出版社 KADOKAWA 代表作『スレイヤーズ!』『冴えない彼女の育て方』『アサシンズプライド』など
ビーズログ文庫 出版社 KADOKAWA 代表作『茉莉花官吏伝』『なんちゃってシンデレラ』『聖剣が人間に転生してみたら、勇者に愛されすぎて困っています。』など
MF文庫J 出版社 KADOKAWA 代表作『ゼロの使い魔』『緋弾のアリア』『ノーゲーム・ノーライフ』など
以上が代表的な出版レーベルなのだが、ライトノベルの出版事情を見渡してみると、とにかくKADOKAWAの一強であることが良くわかる。
それ以外の大手レーベルでは、講談社のラノベ文庫、集英社のスーパーダッシュ文庫、小学館のガガガ文庫あたりが有力だ。
また、『転生したらスライムだった件』なんかでも有名なマイクロマガジン社なんかも注目されている。
定義づけが難しいライトノベルではあるが、ひとまず上記の「出版レーベル」に収録されている作品は全てライトノベルと考えてよい。
特徴➂「アニメと小説の中間的作品」
一般的にライトノベルは「アニメと小説の中間」に位置づけられることがある。
それを最も象徴するのは、ライトノベルの装丁(表紙)だと言っていい。
ライトノベルと冠がつく作品は、ほぼ100%「可愛い女の子のキャラクター」などが描かれている。(ためしに「ラノベ」と画像検索してみれば一目瞭然)
しかも、表紙だけではなく、本のページを繰ってみれば、随所に「アニメ」調の挿絵が見られる。
この辺りは、上述した「ライトノベルの作風」にも大きく関連してくることだと言える。
改めて確認するが、ライトノベルとは「10代~20代の若者」が主なターゲットとして、「非現実的な世界観」を「分かりやすく」描いた小説のことだ。
そうした特徴を考えれば、読者に「小難しいこと」を考えさせずに、できるだけストレスフリーで小説世界に引き込むためにも、「アニメ調」の表紙や挿絵はとても有効だと言っていい。
また、「アニメ調」の表紙や挿絵が活用される理由として、「そもそもライトノベルとアニメとの相性が良い」という点もあげられるだろう。
実際に、ライトノベルのうち人気作品の多くは、アニメ化やコミック化などメディアミックスが積極的に行われている。
やはり、ライトノベルは「アニメと小説の中間」的な立ち位置にあると言えそうだ。
ちなみに、サブカルの評論家でラノベ作家の「大塚英志」は、著書『キャラクー小説の作り方』の中で、一般小説とライトノベルの違いについて言及している。
いわく、
- 現実世界を描写したもの → 一般小説
- 仮想世界を描写したもの → ライトノベル
ということだ。
要は、読みながら(あるいは書きながら)リアル世界を想像し、三次元のキャラクターが動いていれば、それは「一般小説」ということになるだろう。
一方で、読みながら(あるいは書きながら)仮想世界を想像し、二次元のキャラクターが動いていれば、それは「ライトノベル」ということになるだろう。
これはなかなかに示唆に富んだ指摘である。
結論「ライトノベルとは要するに……」
さて、以上を踏まえて改めて結論を述べよう。
ライトノベルとは要するに、次のような作品のことを言う。
以上、ライトノベルとは「若い読者」をターゲットとした「アニメと小説の中間」的な作品であり、とにかく「読みやすく面白い」ところに最大の特徴がある。
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感想「ラノベ作家として生きる」
ライトノベルは読みやすく、すぐに読み終えることができる。
読者はいわゆる“純文学”のように「手を止めて考える」といったことも基本的には必要ない。
読んでは次、読んでは次……といった具体に、作品の多くは高速で消費されていく運命にある。
だから、ライトノベル作家は作品を「量産」することが求められている。
ライトノベルの多くが「シリーズ化」しているのも、ライトノベルマーケットが急速に拡大している現状も、ライトノベルが持つ特徴と深く関係しているといえる。
要するにラノベ業界は「作品がめまぐるしく消費されていく」世界なのであり、他ジャンルに比べて新陳代謝が激しい世界なのだ。
とすると、次の2つのことが言えるだろう。
- 1つ目「他の一般文芸に比べて、ライトノベル作家になるハードルは低い」
- 2つ目「ただし、その分、作家として生き残っていくハードルは高い」
おそらく、今後も多くのライトノベル作家が現れ、そして消えていく状況が続くのだろう。
冲方丁や有川浩のように、ライトノベルから一般エンタメ小説へ移行した作家は珍しくないが、それも一つの生存戦略ということなのだと僕は解釈している。
ライトノベル作家として生きていくためには、「面白い作品を書く才能」はもちろんのことだが、「作品を量産できる才能」こそ、最も必要なものなのかもしれない。
以上です。ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
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